【電験3種・理論】トランジスタと増幅回路の試験対策と過去問題を解説

電験3種(理論)で出題されるトランジスタと増幅回路の試験対策と過去問題について解説します。

エミッタ接地等価回路と増幅率

エミッタ接地とは、ドランジスタ回路において「エミッタを入出力の共通線(同電位)」にしたものです。
そのため、エミッタ共通回路とも呼ばれます。
入力信号は「ベース・エミッタ間」に送り、出力信号は「コレクタ・エミッタ間」から取り出します。

  • エミッタ接地回路の特徴
    • 電流・電圧の増幅度が大きい(高周波成分の増幅度は下がる)
    • 出力信号の位相は反転

【令和7年度上期・問13】トランジスタの電流増幅率と出力インピーダンス

図はあるエミッタ接地トランジスタの静特性を示す。この特性より、ベース電流 $I_B = 40 \mu\text{A}$、コレクタ・エミッタ間の電圧 $V_{CE} = 6\text{V}$ における電流増幅率 $h_{fe}$ (又は $\beta$ )の値及び出力インピーダンスの値 $\text{[}\Omega\text{]}$ の組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

$h_{fe}$ $\frac{1}{h_{oe}}$
(1) 80 30 000
(2) 100 10 000
(3) 100 20 000
(4) 200 10 000
(5) 200 20 000

解説

正解は(2)です。

電流増幅率 $h_{fe}$ は、 $V_{CE}$ を一定($6\text{V}$)としたときの $\Delta I_C / \Delta I_B$ です。
$I_B$ が $20 \mu\text{A}$ から $60 \mu\text{A}$ ($\Delta I_B = 40 \mu\text{A}$)に変化するとき、図より $I_C$ は約 $2\text{mA}$ から $6\text{mA}$ ($\Delta I_C = 4\text{mA}$)に変化します。
$$h_{fe} = \frac{4 \times 10^{-3}}{40 \times 10^{-6}} = 100$$

出力インピーダンス $1/h_{oe}$ は、 $I_B$ を一定($40 \mu\text{A}$)としたときの $\Delta V_{CE} / \Delta I_C$ です。
$I_B = 40 \mu\text{A}$ の曲線上で、 $V_{CE}$ が $4\text{V}$ から $8\text{V}$ ($\Delta V_{CE} = 4\text{V}$)に変化するとき、 $I_C$ は約 $3.8\text{mA}$ から $4.2\text{mA}$ ($\Delta I_C = 0.4\text{mA}$)に変化します。
$$\frac{1}{h_{oe}} = \frac{4}{0.4 \times 10^{-3}} = 10,000 \Omega$$

【令和7年度上期・問18】エミッタホロワ回路の動作

エミッタホロワ回路について、次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a) 図1の回路で $V_{CC} = 9\text{V}, R_1 = 3\text{k}\Omega, R_2 = 6\text{k}\Omega$ とする。エミッタ電流を $2\text{mA}$ としたい。抵抗 $R_E \text{ [k}\Omega\text{]}$ として、最も近いのは次のうちどれか。ただし、ベース電流は無視し、ベース-エミッタ間電圧は $0.7\text{V}$ とする。
(1) 0.36 (2) 1.5 (3) 2.7 (4) 4.7 (5) 7.5

(b) 図2の交流等価回路において、 $h_{ie} = 2.5\text{k}\Omega, h_{fe} = 300$、 $R_E$ は小問(a)の値とする。入力インピーダンス $v_i / i_i \text{ [k}\Omega\text{]}$ として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 2.0 (2) 15 (3) 80 (4) 300 (5) 750

解説

正解は (a)が(3)、(b)が(1)です。

(a) ベース電位 $V_b$ は、 $R_1$ と $R_2$ による分圧で求めます。

$$V_b = \frac{R_2}{R_1 + R_2} V_{CC} = \frac{6}{3 + 6} \times 9 = 6 \text{ [V]}$$

エミッタ電位 $V_e$ は、 $V_e = V_b – 0.7 = 5.3 \text{ [V]}$。

エミッタ電流 $I_e = 2\text{mA}$ なので、

$$R_E = \frac{V_e}{I_e} = \frac{5.3}{2 \times 10^{-3}} = 2.65 \text{ [k}\Omega\text{]}$$

最も近いのは $2.7 \text{ [k}\Omega\text{]}$ です。

(b) 入力インピーダンス $Z_{in}$ は、バイアス抵抗 $R_B$ と、トランジスタ側から見たインピーダンス $Z_t$ の並列となります。

$$R_B = \frac{R_1 R_2}{R_1 + R_2} = \frac{3 \times 6}{3 + 6} = 2 \text{ [k}\Omega\text{]}$$

$$Z_t = h_{ie} + (1 + h_{fe})R_E = 2.5 + (301 \times 2.7) \approx 815 \text{ [k}\Omega\text{]}$$

$$Z_{in} = \frac{R_B \cdot Z_t}{R_B + Z_t} \approx \frac{2 \times 815}{2 + 815} \approx 2.0 \text{ [k}\Omega\text{]}$$

【令和6年度下期・問13】固定バイアス回路を用いたトランジスタ増幅回路

図1は、固定バイアス回路を用いた、$R_B$ の値が未知のエミッタ接地トランジスタ増幅回路である。図2は、この増幅回路で用いているトランジスタのコレクターエミッタ間電圧 $V_{CE}$ とコレクタ電流 $I_C$ との関係を予め調べ示した静特性である。ただし、五つのベース電流の値 $I_B \text{ [}\mu\text{A]}$ のみに対する曲線であり、増幅回路の負荷抵抗 $R_L$ の負荷線も重ねて示している。今、増幅回路の動作点を測定したところ $V_{CE}=3.0 \text{ V}$ であった。抵抗 $R_B$ の値 $\text{[M}\Omega\text{]}$ として最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし、ベースーエミッタ間電圧 $V_{BE}$ を $0.7 \text{ V}$ としてよい。なお、$C_1$、$C_2$ は結合コンデンサであり、$V_{CC}$ は直流電圧源である。

(1) (2) (3) (4) (5)
$R_B \text{ [M}\Omega\text{]}$ 0.5 0.9 1.5 3.0 6.0

解説

正解は(2)です。

静特性(図2)より、$V_{CE} = 3.0 \text{ V}$ の動作点は直流負荷線との交点になります。
このとき、グラフからベース電流 $I_B$ は $6 \text{ }\mu\text{A}$($0.006 \text{ mA}$)の曲線上に位置することがわかります。

直流負荷線のX切片($I_C = 0$)は $V_{CC}$ の値を示します。グラフから $V_{CC} = 6.0 \text{ V}$ と読み取れます。

ベース回路の閉回路において、キルヒホッフの法則より、
$$V_{CC} = R_B I_B + V_{BE}$$
これを $R_B$ について解きます。
$$R_B = \frac{V_{CC} – V_{BE}}{I_B}$$

値を代入します。
$$R_B = \frac{6.0 – 0.7}{6 \times 10^{-6}} = \frac{5.3}{6 \times 10^{-6}} \approx 0.883 \times 10^6 \text{ [}\Omega\text{]} \approx 0.88 \text{ [M}\Omega\text{]}$$

最も近い値は $0.9 \text{ M}\Omega$ となります。

【令和6年度上期・問18】アナログ変調・復調回路

無線通信で行われるアナログ変調・復調に関する記述について、次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a) 無線通信で音声や画像などの情報を送る場合、送信側においては、情報を電気信号(信号波)に変換する。次に信号波より (ア) 周波数の搬送波に信号波を含ませて得られる信号を送信する。受信側では、搬送波と信号波の二つの成分を含むこの信号から (イ) の成分だけを取り出すことによって、音声や画像などの情報を得る。
搬送波に信号波を含ませる操作を変調という。(ウ) の搬送波を用いる基本的な変調方式として、振幅変調(AM)、周波数変調(FM)、位相変調(PM)がある。
搬送波を変調して得られる信号からもとの信号波を取り出す操作を復調又は (エ) という。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(ア) (イ) (ウ) (エ)
(1) 高い 信号波 三角波 検波
(2) 高い 信号波 正弦波 検波
(3) 高い 搬送波 三角波 增幅
(4) 低い 信号波 三角波 增幅
(5) 低い 搬送波 正弦波 検波

(b) 図1は、トランジスタの (ア) に信号波の電圧を加えて振幅変調を行う回路の原理図である。電圧 $v_1$, $v_2$, $v_3$ の波形を同時に計測したところ図2のいずれかであった。このとき、電圧 $v_1$ の波形は (イ)、 $v_2$ の波形は (ウ)、 $v_3$ の波形は (エ) である。図2のグラフより振幅変調の変調率を計算すると約 (オ) %となる。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(ア) (イ) (ウ) (エ) (オ)
(1) コレクタ 図2(c) 図2(a) 図2(b) 33
(2) コレクタ 図2(c) 図2(b) 図2(a) 67
(3) ベース 図2(b) 図2(a) 図2(c) 50
(4) エミッタ 図2(b) 図2(c) 図2(a) 67
(5) ベース 図2(c) 図2(a) 図2(b) 33

解説

(a) 正解は(2)です。
無線通信では、信号波よりも(ア)高い周波数の搬送波を用いて送信します。受信側では、元の情報である(イ)信号波の成分を取り出します。アナログ変調では一般的に(ウ)正弦波の搬送波が用いられ、受信側で元の信号波を取り出す操作を復調又は(エ)検波と呼びます。

(b) 正解は(5)です。
振幅変調回路では、トランジスタの(ア)ベースに信号波を入力して変調を行うのが一般的です。電圧波形として、 $v_1$ は情報を含む低周波の信号波(イ)図2(c)、 $v_2$ は高周波の搬送波(ウ)図2(a)、 $v_3$ は振幅変調された変調波(エ)図2(b) に対応します。
変調率 $m$ は、変調波の最大振幅 $A_{max}$ と最小振幅 $A_{min}$ を用いて、 $m = \frac{A_{max} – A_{min}}{A_{max} + A_{min}} \times 100 \text{ [\%]}$ で求められます。グラフから読み取れる最大値と最小値の比率より、変調率は約(オ)33%となります。

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