電験3種・法規分野における「使用前自己確認」の試験対策についてまとめました。
【51条の2】使用前自己確認
【電気事業法】
(設置者による事業用電気工作物の自己確認)
第51条の2
事業用電気工作物であつて公共の安全の確保上重要なものとして主務省令で定めるものを設置する者は、その使用を開始しようとするときは、当該事業用電気工作物が、第三十九条第一項の主務省令で定める技術基準に適合することについて、主務省令で定めるところにより、自ら確認しなければならない。ただし、第四十七条第一項の認可(設置の工事に係るものに限る。)又は同条第四項若しくは第四十八条第一項の規定による届出(設置の工事に係るものに限る。)に係る事業用電気工作物を使用するとき、及び主務省令で定めるときは、この限りでない。
2前項の規定は、同項に規定する事業用電気工作物を設置する者が当該事業用電気工作物について主務省令で定める変更をした場合であつて、当該変更をした事業用電気工作物の使用を開始しようとするときに準用する。この場合において、同項中「事業用電気工作物が」とあるのは「変更をした事業用電気工作物が」と、「設置の工事」とあるのは「変更の工事」と読み替えるものとする。
3第一項に規定する事業用電気工作物を設置する者は、同項(前項において準用する場合を含む。)の規定による確認をした場合には、当該事業用電気工作物の使用の開始前に、主務省令で定めるところにより、当該確認の結果(当該事業用電気工作物が小規模事業用電気工作物である場合であつて、その設置者が当該確認を委託して行つた場合にあつては、その委託先の氏名又は名称及び住所その他経済産業省令で定める事項を含む。)を主務大臣に届け出なければならない。
「使用前自己確認」となる工事については、施行規則74〜78条、別表第6に記載されています。
【施行規則】
(設置者による事業用電気工作物の自己確認)
第74条 法第51条の2第1項の主務省令で定める事業用電気工作物は、別表第6に掲げる電気工作物とする。第75条 法第51条の2第1項の主務省令で定めるときは、事業用電気工作物が滅失し、若しくは損壊した場合又は災害その他非常の場合において、やむを得ない一時的な工事を行った場合の当該工事に係る事業用電気工作物を使用するときとする。
第76条 使用前自己確認は、電気工作物の各部の損傷、変形等の状況並びに機能及び作動の状況について、法第三十九条第一項の技術基準に適合するものであることを確認するために十分な方法で行うものとする。
第77条 法第51条の2第2項の主務省令で定める変更は、別表第七に掲げる電気工作物の変更とする。
第78条 法第51条の2第3項の届出をしようとする者は、様式第53の使用前自己確認結果届出書に次に掲げる事項を記載した書類を添えて提出しなければならない。
一 使用前自己確認を行った年月日
二 使用前自己確認の対象
三 使用前自己確認の方法
四 使用前自己確認の結果
五 使用前自己確認を実施した者及び主任技術者の氏名
六 使用前自己確認の結果に基づいて補修等の措置を講じたときは、その内容
七 当該事業用電気工作物の属する別表第三の上欄に掲げる電気工作物の種類に応じて、同表の下欄に掲げる添付書類(別表第六第二項に掲げる電気工作物の設置及び別表第七第三項に掲げる電気工作物の変更をしようとする場合を除く。)
2 使用前自己確認の結果の記録は、使用前自己確認を行った後五年間保存するものとする。ただし、使用前自己確認に係る事業用電気工作物を廃止した場合は、この限りでない。別表第六(第七十四条関係)
1 次の各号のいずれにも適合する**燃料電池発電所**であって、**出力五百キロワット以上二千キロワット未満**のもの
一 当該燃料電池発電所が、複数の燃料電池筐体(燃料電池設備、電気設備その他の電気工作物を格納する筐体をいう。以下同じ。)及び当該燃料電池筐体に接続する電線、ガス導管その他の附属設備のみで構成されていること。
二 当該燃料電池発電所を構成する全ての燃料電池設備が、燃料電池筐体内に格納されていること。
三 当該燃料電池発電設備を構成する全ての燃料電池筐体に格納される**燃料電池設備**が、**出力五百キロワット未満**であること。
2 **太陽電池発電所又は太陽電池発電設備**であって、**出力十キロワット以上二千キロワット未満**のもの
3 **風力発電所又は風力発電設備**であって、**出力五百キロワット未満**のもの
4 **出力二十キロワット未満**の発電所であって、**次に掲げるもの以外のもの**
一 水力発電所
二 火力発電所
三 燃料電池発電所
四 太陽電池発電所
五 風力発電所
【例】
太陽電池発電所(出力3000kW)の設置工事 → 使用前自己確認結果届出の対象外(※工事計画届出書の対象になります)
太陽電池発電所(出力1000kW)の設置工事 → 使用前自己確認結果届出の対象(※工事計画届出書の対象外になります)
【補足】使用前自己確認制度Q&A
経済産業省HPから「太陽電池発電設備の使用前自己確認制度に係るQ&A」という文章が公開されています。
Q1 太陽電池設備を使用前自己確認制度に導入するに至った経緯や主旨は?
近年、太陽電池発電設備の設置数の増加に伴い、中小規模の太陽電池発電設備について、突風や台風等によるパネルの飛散が発生しています。これにより、近隣の家屋等の第三者への被害も
発生していますが、中には、技術基準に適合しているか否かを設置者が把握していない場合もありました。これを踏まえ、太陽電池設備の設置にあたっては、技術基準への適合について設置者
が確認を行い、国に届出させることと致しました。
Q2 本制度では、設備のうちどの箇所が検査の対象となるのか?
新設(別表第6)の場合、対象となる発電所の全ての設備が対象となります。また、変更(別表第7)の場合、当該変更箇所が対象となります。基本的な考え方は、工事計画や安全管理審査の考え方と同様です。なお、具体的な検査の方法は、「使用前自主検査及び使用前自己確認の方法の解釈」(平成29年3月31日付け20170323商局第3号。以下、「検査解釈」という。)に記載のとおりですが、これに加え、支持物の強度計算確認も要求されます。
Q3 支持物とは何か?どこまでが、支持物なのか?
「太陽電池モジュールを支持することを目的とした工作物で、単柱、架台などの総称」です(日本工業規格 JIS C 8955 (2017)から引用)また、太陽電池モジュール(太陽光パネル)を支えているものは全て支持物となるので、スクリュー杭やコンクリート基礎なども、支持物となります。
Q4 使用前自己確認結果届出書は誰が提出する必要があるのか?
法第51条の2に記載がありますとおり、設置者(設備を設置する者)が国へ提出するものです。
Q5 本届出事項についての責任は誰にあるのか?
Q4の記載のとおり、本届出は設置者が届け出るものであり、設置者に責任があります。
Q6 届出書類は何が必要か?
施行規則の「様式第53」及び「検査解釈」の別添資料に必要事項を記載したものを提出いただきます。施行規則の別表第7関係の届出は、対象箇所が分かる資料及び変更の理由を別途提出(様式自由)いただくこととします。なお、詳細は記載例を参照して下さい。
Q7 試験結果の届出は必要か?
電気事業法施行規則第73条に記載があるとおり太陽電池発電設備試験結果については、届出は不要です。ただし、試験結果の保存は必要となります。立入検査や報告徴収等の対象となった場合、試験結果の確認をしますので、必ず保管をしておいて下さい。
Q8 工事期間中、電気主任技術者を選任又は外部委託していない場合、「使用前自主検査及び使用前自己確認の方法の解釈」の「別添資料 使用前自己確認結果届出書の別紙に関する様式例」中、確認者の欄はどのように記載すればよいのか?
確認を行った責任者を記載して下さい。その場合、主任技術者がまだ選任されていないことを、備考欄に記載して下さい。
Q9 届出はどのタイミングで行えばよいのか?
電気事業法第51条の2において、使用を開始するときまでに確認をし、「使用の開始前に」届出を行うこととなっております。
Q10 使用(運転)開始のタイミングは、使用前自己確認結果届出書を提出した時点を指すのか?
提出した使用前自己確認結果届出書が受理された時点です。
Q11 使用開始とはいつを指すのか?
使用前自己確認結果届出書が受理された後、発電所として使用を開始した時点を「使用開始」とします。なお、届出に必要となる確認項目の中には、制御電源喪失試験等、連系しないと確認出来ないものもございますので、系統に接続された時点をもって使用開始とするものではございません。
Q12 本制度は、施行した時点でどういった状態の設備が対象となるのか?
本制度の施行日以降に系統連系する設備が対象になります。加えてまた、施行日の時点で系統連系しているものの、使用前自己確認で届出が必要な検査項目が一部でも完了していない場合は、対象となります。一方、施行日の時点で系統連系しており、既に使用前自己確認で届出が必要な検査項目が全て完了している場合は、対象外です。
Q13 同一とみなされる500kW 以上を発電所の建設する場合、(例えば、工期を2回に分けて、300kW ずつ建設する場合(発電所の出力は600kW))、届出の対象になるか?
対象となります。この場合、工事ごとに届出が必要となります。
Q14 保安規程にはどのような記載をすればよいのか?
施行規則第50条第3項第8号に基づき、「使用前自己確認に係る実施体制及び記録の保存」に関することが含まれる記載として下さい。参考として、以下に例を示します。
(例)
法令に基づく使用前自己確認については、電気主任技術者の監督のもとで実施し(※注:実施体制に関すること)、経済産業省令で定める技術基準に適合するものであることを確認しなければならない。また、その結果の記録は、使用前自己確認を行った後5年間保存(※注:記録の保存に関すること)しなければならない。
Q15 太陽電池発電所の設置者変更があった場合、新設置者は使用前自己確認結果の届出が必要か?また、支持物の強度計算の妥当性を改めて確認する必要があるか?
法の趣旨はあくまで当該設備が建設時に技術基準に適合したものであるかを確認することですので、設置者を変更した場合の届出の必要はございません。ただし、新設置者には技術基準適合性維持義務がかかることから、新設置者において、引き継いだ設備が技術基準に適合したものであるか、確認する必要があります。
Q16 使用前自己確認結果届出書の審査により太陽電池発電所の使用(運転)が開始出来なくなることはあるのか?
技術基準に適合していることが示されない場合、事実確認をして法令違反に該当する場合は、技術基準に適合するまで運転できなくなります。
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