電験三種(法規)における電技63-66条「異常時の保護対策」の攻略ポイントをまとめました。
【電技63条】 過電流からの低圧幹線等の保護措置
(過電流からの低圧幹線等の保護措置)
第63条 低圧の幹線、低圧の幹線から分岐して電気機械器具に至る低圧の電路及び引込口から低圧の幹線を経ないで電気機械器具に至る低圧の電路(以下この条において「幹線等」という。)には、適切な箇所に開閉器を施設するとともに、過電流が生じた場合に当該幹線等を保護できるよう、過電流遮断器を施設しなければならない。ただし、当該幹線等における短絡事故により過電流が生じるおそれがない場合は、この限りでない。
2 交通信号灯、出退表示灯その他のその損傷により公共の安全の確保に支障を及ぼすおそれがあるものに電気を供給する電路には、過電流による過熱焼損からそれらの電線及び電気機械器具を保護できるよう、過電流遮断器を施設しなければならない。
電技解釈148条1項2号では、低圧幹線に使用する電線の許容電流について以下のように記載されています。
低圧幹線の許容電流
【低圧幹線の施設】(省令第56条第1項、第57条第1項、第63条第1項)
第148条 低圧幹線は、次の各号によること。
一 損傷を受けるおそれがない場所に施設すること。
二 電線の許容電流は、低圧幹線の各部分ごとに、その部分を通じて供給される電気使用機械器具の定格電流の
合計値以上であること。ただし、当該低圧幹線に接続する負荷のうち、電動機又はこれに類する起動電流が大
きい電気機械器具(以下この条において「電動機等」という。)の定格電流の合計が、他の電気使用機械器具
の定格電流の合計より大きい場合は、他の電気使用機械器具の定格電流の合計に次の値を加えた値以上である
こと。
イ 電動機等の定格電流の合計が50A以下の場合は、その定格電流の合計の1.25倍
ロ 電動機等の定格電流の合計が50Aを超える場合は、その定格電流の合計の1.1倍
【計算方法】

各負荷の定格電流、幹線の許容電流などを次のように定義します。
① $I_M$、$I_H$を計算します。
※上図の例なら
$ I_M = I_{M1}+I_{M2} $
$ I_H = I_{H1}+I_{H2} $
② $I_H \geqq I_M$なら許容電流$I_W$は次のようになります。
$ I_W\geqq I_M+I_H $
③ $I_H < I_M$なら許容電流$I_W$は次のようになります。
(i) $I_M \leqq50A $ のとき許容電流$I_W$は
$ I_W\geqq 1.25\times I_M+I_H $
(ii)$I_M > 50A$ のとき許容電流$I_W$は
$ I_W\geqq1.1 \times I_M + I_H $
需要率がある場合
需要率が100%ではない場合、それぞれの定格電流に需要率をかけた値を用いて計算します。
例えば需要率が90%ならば定格電流に0.9をかけます。
| パラメータ | 説明 |
|---|---|
| $I_W$ | 許容電流(この値から幹線の太さを決定) |
| $I_H$ | 始動電流が大きくない負荷の定格電流の合計値[$I_{H1}+i_{H2}+…$] |
| $I_M$ | 始動電流が大きい負荷の定格電流の合計値[$I_{M1}+i_{M2}+…$] |
| $I_{Hi}$ | 始動電流が大きくない負荷Hiの定格電流(電動機以外の多くの電気機器)[i=1, 2, ….] |
| $I_{Mi}$ | 始動電流が大きい負荷Miの定格電流(電動機など)[i=1, 2, ….] |
電技解釈148条4項では、低圧幹線で過電流遮断器を省略できる条件について以下のように記載されています。
【低圧幹線の施設】(省令第56条第1項、第57条第1項、第63条第1項)
第148条 [H29:問7出題]
四 低圧幹線の電源側電路には、当該低圧幹線を保護する過電流遮断器を施設すること。ただし、次のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
イ 低圧幹線の許容電流が、当該低圧幹線の電源側に接続する他の低圧幹線を保護する過電流遮断器の定格電流の55%以上である場合
ロ 過電流遮断器に直接接続する低圧幹線又はイに掲げる低圧幹線に接続する長さ8m以下の低圧幹線であって、当該低圧幹線の許容電流が、当該低圧幹線の電源側に接続する他の低圧幹線を保護する過電流遮断器の定格電流の35%以上である場合
ハ 過電流遮断器に直接接続する低圧幹線又はイ若しくはロに掲げる低圧幹線に接続する長さ3m以下の低圧幹線であって、当該低圧幹線の負荷側に他の低圧幹線を接続しない場合
ニ 低圧幹線に電気を供給する電源が太陽電池のみであって、当該低圧幹線の許容電流が、当該低圧幹線を通過する最大短絡電流以上である場合

| 条件 | 内容 |
|---|---|
| ①原則3m以下 | 次の②③の条件にあてはまらない場合 |
| ②8m以下 | 分岐した電線の許容電流 ≧ 幹線の過電流遮断器の定格電流の35% |
| ③制限なし | 分岐した電線の許容電流 ≧ 幹線の過電流遮断器の定格電流の55% |

電技解釈148条5項では、低圧幹線に使用する過電流遮断器の定格電流について以下のように記載されています。
【低圧幹線の施設】(省令第56条第1項、第57条第1項、第63条第1項)
第148条
五 前号の規定における「当該低圧幹線を保護する過電流遮断器」は、その定格電流が、当該低圧幹線の許容電流以下のものであること。ただし、低圧幹線に電動機等が接続される場合の定格電流は、次のいずれかによることができる。
イ 電動機等の定格電流の合計の3倍に、他の電気使用機械器具の定格電流の合計を加えた値以下であること。
ロ イの規定による値が当該低圧幹線の許容電流を2.5倍した値を超える場合は、その許容電流を2.5倍した値以下であること。
ハ 当該低圧幹線の許容電流が100Aを超える場合であって、イ又はロの規定による値が過電流遮断器の標準定格に該当しないときは、イ又はロの規定による値の直近上位の標準定格であること。
【電技64条】 地絡に対する保護措置
(地絡に対する保護措置)
第64条 ロードヒーティング等の電熱装置、プール用水中照明灯その他の一般公衆の立ち入るおそれがある場所又は絶縁体に損傷を与えるおそれがある場所に施設するものに電気を供給する電路には、地絡が生じた場合に、感電又は火災のおそれがないよう、地絡遮断器の施設その他の適切な措置を講じなければならない。
【電技65条】 電動機の過負荷保護
(電動機の過負荷保護)
第65条 屋内に施設する電動機(出力が0.2kW以下のものを除く。この条において同じ。)には、過電流による当該電動機の焼損により火災が発生するおそれがないよう、過電流遮断器の施設その他の適切な措置を講じなければならない。ただし、電動機の構造上又は負荷の性質上電動機を焼損するおそれがある過電流が生じるおそれがない場合は、この限りでない。
上記については、解釈で以下のように記載されています。
【電動機の過負荷保護装置の施設】(省令第65条)
第153条 屋内に施設する電動機には、電動機が焼損するおそれがある過電流を生じた場合に自動的にこれを阻止し、又はこれを警報する装置を設けること。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合はこの限りでない。
一 電動機を運転中、常時、取扱者が監視できる位置に施設する場合
二 電動機の構造上又は負荷の性質上、その電動機の巻線に当該電動機を焼損する過電流を生じるおそれがない場合
三 電動機が単相のものであって、その電源側電路に施設する過電流遮断器の定格電流が15A(配線用遮断器にあっては、20A)以下の場合
四 電動機の出力が0.2kW以下の場合
【電技66条】 異常時における高圧の移動電線及び接触電線における電路の遮断
(異常時における高圧の移動電線及び接触電線における電路の遮断)
第66条 高圧の移動電線又は接触電線(電車線を除く。以下同じ。)に電気を供給する電路には、過電流が生じた場合に、当該高圧の移動電線又は接触電線を保護できるよう、過電流遮断器を施設しなければならない。
2 前項の電路には、地絡が生じた場合に、感電又は火災のおそれがないよう、地絡遮断器の施設その他の適切な措置を講じなければならない。
【解釈第171条】高圧の移動電線
【移動電線の施設】(省令第56条、第57条第1項、第66条)
第171条(略)
3 高圧の移動電線は、次の各号によること。
一 電線は、高圧用の3種クロロプレンキャブタイヤケーブル又は3種クロロスルホン化ポリエチレンキャブタイヤケーブルであること。
二 移動電線と電気機械器具とは、ボルト締めその他の方法により堅ろうに接続すること。
三 移動電線に電気を供給する電路(誘導電動機の2次側電路を除く。)は、次によること。
イ 専用の開閉器及び過電流遮断器を各極(過電流遮断器にあっては、多線式電路の中性極を除く。)に施設すること。ただし、過電流遮断器が開閉機能を有するものである場合は、過電流遮断器のみとすることができる。
ロ 地絡を生じたときに自動的に電路を遮断する装置を施設すること。
4 特別高圧の移動電線は、第191条第1項第八号の規定により屋内に施設する場合を除き、施設しないこと。
【令和6年度下期・問8】移動電線の施設
次の文章は、「電気設備技術基準」及び「電気設備技術基準の解釈」に基づく移動電線の施設に関する記述である。
a) 移動電線を電気機械器具と接続する場合は、接続不良による感電又は(ア)のおそれがないように施設しなければならない。
b) 高圧の移動電線に電気を供給する電路には、(イ)が生じた場合に、当該高圧の移動電線を保護できるよう、(イ)遮断器を施設しなければならない。
c) 高圧の移動電線と電気機械器具とは(ウ)その他の方法により堅ろうに接続すること。
d) 特別高圧の移動電線は、充電部分に人が触れた場合に人に危険を及ぼすおそれがない電気集じん応用装置に附属するものを(エ)に施設する場合を除き、施設しないこと。
上記の記述中の空白箇所(ア)から(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)から(5)のうちから一つ選べ。
| – | (ア) | (イ) | (ウ) | (エ) |
|---|---|---|---|---|
| (1) | 火災 | 地絡 | 差込み接続器使用 | 屋内 |
| (2) | 断線 | 過電流 | ボルト締め | 屋外 |
| (3) | 断線 | 地絡 | 差込み接続器使用 | 屋外 |
| (4) | 火災 | 過電流 | ボルト締め | 屋内 |
| (5) | 断線 | 過電流 | 差込み接続器使用 | 屋外 |
解説
正解は(4)です。
a) は、電気設備に関する技術基準を定める省令 第66条にて以下のように規定されています。
(異常時における高圧の移動電線及び接触電線における電路の遮断)
第66条 高圧の移動電線又は接触電線(電車線を除く。以下同じ。)に電気を供給する電路には、過電流が生じた場合に、当該高圧の移動電線又は接触電線を保護できるよう、過電流遮断器を施設しなければならない。
2 前項の電路には、地絡が生じた場合に、感電又は火災のおそれがないよう、地絡遮断器の施設その他の適切な措置を講じなければならない。
また、解釈第171条で以下の記載があります。
【移動電線の施設】(省令第56条、第57条第1項、第66条)
第171条(略)
3 高圧の移動電線は、次の各号によること。
一 電線は、高圧用の3種クロロプレンキャブタイヤケーブル又は3種クロロスルホン化ポリエチレンキャブタイヤケーブルであること。
二 移動電線と電気機械器具とは、ボルト締めその他の方法により堅ろうに接続すること。
三 移動電線に電気を供給する電路(誘導電動機の2次側電路を除く。)は、次によること。
イ 専用の開閉器及び過電流遮断器を各極(過電流遮断器にあっては、多線式電路の中性極を除く。)に施設すること。ただし、過電流遮断器が開閉機能を有するものである場合は、過電流遮断器のみとすることができる。
ロ 地絡を生じたときに自動的に電路を遮断する装置を施設すること。
4 特別高圧の移動電線は、第191条第1項第八号の規定により屋内に施設する場合を除き、施設しないこと。
つまり、高圧の移動電線路には過電流遮断器が必要であり、接続はボルト締めなど堅ろうな方法が必要です。また、特別高圧の移動電線は、電気集じん応用装置用などを屋内に施設する場合等、極めて限定的な例外を除き原則禁止されています。
【令和6年度下期・問9】電動機の過負荷保護装置
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」における電動機の過負荷保護装置の施設に関する記述である。
屋内に施設する電動機には、電動機が焼損するおそれがある過電流を生じた場合に(ア)これを阻止し、又はこれを警報する装置を設けること。ただし、次のいずれかに該当する場合はこの限りでない。
a) 電動機を運転中、常時(イ)が監視できる位置に施設する場合
b) 電動機の構造上又は負荷の性質上、その電動機の巻線に当該電動機を焼損する過電流を生じるおそれがない場合
c) 電動機が単相のものであって、その電源側電路に施設する(ウ)遮断器の定格電流が 15 A((エ)遮断器にあっては、20 A)以下の場合
d) 電動機の出力が(オ) kW 以下の場合
上記の記述中の空白箇所(ア)から(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)から(5)のうちから一つ選べ。
| – | (ア) | (イ) | (ウ) | (エ) | (オ) |
|---|---|---|---|---|---|
| (1) | 自動的に | 取扱者 | 配線用 | 過電流 | 0.2 |
| (2) | 遅滞なく | 取扱者 | 配線用 | 過電流 | 2 |
| (3) | 自動的に | 取扱者 | 過電流 | 配線用 | 0.2 |
| (4) | 遅滞なく | 管理者 | 配線用 | 過電流 | 2 |
| (5) | 自動的に | 管理者 | 過電流 | 配線用 | 2 |
解説
正解は(3)です。
電気設備の技術基準 第65条およびその解釈第153条で以下のように記載されています。
(電動機の過負荷保護)
第65条 屋内に施設する電動機(出力が0.2kW以下のものを除く。この条において同じ。)には、過電流による当該電動機の焼損により火災が発生するおそれがないよう、過電流遮断器の施設その他の適切な措置を講じなければならない。ただし、電動機の構造上又は負荷の性質上電動機を焼損するおそれがある過電流が生じるおそれがない場合は、この限りでない。
上記については、解釈で以下のように記載されています。
【電動機の過負荷保護装置の施設】(省令第65条)
第153条 屋内に施設する電動機には、電動機が焼損するおそれがある過電流を生じた場合に自動的にこれを阻止し、又はこれを警報する装置を設けること。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合はこの限りでない。
一 電動機を運転中、常時、取扱者が監視できる位置に施設する場合
二 電動機の構造上又は負荷の性質上、その電動機の巻線に当該電動機を焼損する過電流を生じるおそれがない場合
三 電動機が単相のものであって、その電源側電路に施設する過電流遮断器の定格電流が15A(配線用遮断器にあっては、20A)以下の場合
四 電動機の出力が0.2kW以下の場合
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