電験3種における電気事業法で出題される太陽光発電所の設置工事に関するルールについてまとめました。
【太陽光発電所】設置工事に関するルール
太陽光発電所を設置する場合は、出力によって以下のように許可や届け出の有無が変わります。
ー | 出力2000kW以上 | 出力500kW以上、2000kW未満 | 説明 |
---|---|---|---|
工事計画の許可 | ☓ | ☓ | ー |
工事計画の届出 | ○ | ☓ | 工事開始の30日前に主務大臣に届け出る |
使用前自主検査 | ○ | ☓ | 実施に係る体制について主務大臣の審査を受ける |
自己確認 | ☓ | ○ | 使用開始前に結果を主務大臣に届け出る |
保安規程 | ○ | ○ | 事業用電気工作物を設置する必要がある場合 |
○:必要、☓:不要
使用前自主検査・・・工事計画の届出が必要な工事の完了後、「工事計画に従って適切に行われたこと」「技術基準に適合していること」を確認するために、設置者が使用前に自主的に検査して、結果を記録すること。
●電気事業法 e-GOV
●電気事業法 施行規則 e-GOV
【施行規則 別表第二】太陽電池発電所で工事計画(変更)届出が必要となるもの
「電気事業法施行規則」別表第二(第六十二条、第六十五条関係)で工事計画(変更)届出が必要となるものが規定されています。
そのうち、太陽電池発電所に関連するものを以下に抜粋しました。
工事の種類 | 事前届出を要するもの |
---|---|
発電所 一 設置の工事 (8) | 出力2000kW以上の太陽電池発電所の設置 |
発電所 (一) 発電設備の設置 | (8) 太陽電池発電所の出力2000kW以上の発電設備の設置 |
(4) 太陽電池設備 太陽電池 |
1 出力2000kW以上の太陽電池の設置 |
同上 | 2 出力2000kW以上の太陽電池の取替え |
同上 | 3 出力2000kW以上の太陽電池の改造であって、次に掲げるもの |
同上 | (1) 20%以上の電圧の変更を伴うもの |
同上 | (2) 支持物の強度の変更を伴うもの |
同上 | 4 出力2000kW以上の太陽電池の修理であって、支持物の強度に影響を及ぼすもの |
(2) 変圧器 | 1 電圧17万V以上であって、容量10万kVA以上の変圧器(中欄に掲げるものを除く。)の設置 |
同上 | 2 電圧17万V以上であって、容量10万kVA以上の変圧器(中欄に掲げるものを除く。)の改造であって、次に掲げるもの (1) 20%以上の電圧又は容量の変更を伴うもの (2) 電圧調整装置を付加するもの |
同上 | 3 電圧17万V以上であって、容量10万kVA以上の変圧器の取替え |
(3) 電圧調整器又は電圧位相調整器 | 1 送電電圧17万V以上の発電所に係る容量1万kVA以上の電圧調整器又は電圧位相調整器の設置 |
同上 | 2 送電電圧17万V以上の発電所に係る容量1万kVA以上の電圧調整器又は電圧位相調整器の改造であって、20%以上の電圧又は容量の変更を伴うもの |
同上 | 3 送電電圧17万V以上の発電所に係る容量1万kVA以上の電圧調整器又は電圧位相調整器の取替え |
(4) 調相機 | 1 送電電圧17万V以上の発電所に係る容量2万kVA以上の調相機の設置 |
同上 | 2 送電電圧17万V以上の発電所に係る容量2万kVA以上の調相機の改造であって、20%以上の電圧又は容量の変更を伴うもの |
同上 | 3 送電電圧17万V以上の発電所に係る容量2万kVA以上の調相機の取替え |
(5) 電力用コンデンサー | 1 送電電圧17万V以上の発電所に係る容量1万kVA以上の群の設置 |
同上 | 2 送電電圧17万ボルト以上の発電所に係る容量1万kVA以上の群の改造であって、20%以上の容量の変更を伴うもの |
同上 | 3 送電電圧十七万ボルト以上の発電所に係る容量1万kVA以上の群の取替え |
(6) 分路リアクトル又は限流リアクトル | 1 送電電圧十七万ボルト以上の発電所に係る容量1万kVA以上の分路リアクトル又は限流リアクトルの設置 |
同上 | 2 送電電圧十七万ボルト以上の発電所に係る容量1万kVA以上の分路リアクトル又は限流リアクトルの改造であって、20%以上の容量の変更を伴うもの |
同上 | 3 送電電圧17万V以上の発電所に係る容量一万キロボルトアンペア以上の分路リアクトル又は限流リアクトルの取替え |
(7) 周波数変換機器又は整流機器 | 1 容量15万kVA以上又は出力15万kW以上の周波数変換機器又は整流機器の設置 |
同上 | 2 容量15万kVA以上又は出力15万kW以上の周波数変換機器又は整流機器の改造であって、20%以上の電圧の変更又は二十パーセント以上の容量若しくは出力の変更を伴うもの |
同上 | 3 容量15万kVA以上又は出力15万kW以上の周波数変換機器又は整流機器の取替え |
(8) 遮断器 | 1 送電線引出口の遮断器(需要設備と電気的に接続するためのものを除く。)であって、電圧17万V以上のもの(中欄に掲げるものを除く。)の設置(ガス遮断器又はガス遮断器以外の遮断器に替え、ガス遮断器を設置する場合を除く。) |
同上 | 2 送電線引出口の遮断器(需要設備と電気的に接続するためのものを除く。)であって、電圧17万V以上のものの改造のうち、20%(ガス遮断器及び真空遮断器にあっては、30%)以上の遮断電流の変更を伴うもの(中欄に掲げるものを除く。) |
同上 | 3 周波数低下による事故の拡大を防止するために設置する遮断器であって、法第三十八条第三項各号に掲げる事業の用に供する電圧30万V以上のもの(中欄に掲げるものを除く。)の設置 |
同上 | 4 他の者が設置する電気工作物(需要設備を除く。)と電気的に接続するための遮断器であって、電圧17万V以上のものの取替え |
(9) 逆変換装置 | 燃料電池発電所における出力五百キロワット以上の発電設備、太陽電池発電所における出力2000kW以上の発電設備又は風力発電所における出力五百キロワット以上の発電設備に係る逆変換装置の設置、取替え又は改造であって20%以上の電圧若しくは出力の変更を伴うもの |
(10) 電力貯蔵装置 | 1 (一)下欄の発電設備に係る容量8万kWh以上の電力貯蔵装置の設置 2 (一)下欄の発電設備に係る容容量8万kWh以上の電力貯蔵装置の改造であって、20%以上の容量の変更を伴うもの |
3 附帯設備 (1) 発電所の運転を管理するための制御装置 | 水力発電所、出力1000kW未満(内燃力を原動力とするものにあっては一万キロワット未満)の火力発電所、出力500kW未満の燃料電池発電所、出力2000kW未満の太陽電池発電所又は出力500kW未満の風力発電所以外の発電所に係る制御装置の改造であって、制御方式の変更を伴うもの |
【電気事業法 第51条】使用前安全管理検査(使用前自主検査)
使用前安全管理検査(使用前自主検査)については、電気事業法 第51条の1-2項に記載されています。
第五十一条 第四十八条第一項の規定による届出をして設置又は変更の工事をする事業用電気工作物(その工事の計画について同条第四項の規定による命令があつた場合において同条第一項の規定による届出をしていないもの及び第四十九条第一項の主務省令で定めるものを除く。)であつて、主務省令で定めるものを設置する者は、主務省令で定めるところにより、その使用の開始前に、当該事業用電気工作物について自主検査を行い、その結果を記録し、これを保存しなければならない。
2 前項の検査(以下「使用前自主検査」という。)においては、その事業用電気工作物が次の各号のいずれにも適合していることを確認しなければならない。
一 その工事が第四十八条第一項の規定による届出をした工事の計画(同項後段の主務省令で定める軽微な変更をしたものを含む。)に従つて行われたものであること。
二 第三十九条第一項の主務省令で定める技術基準に適合するものであること。
使用前自主検査の実施に係る体制については、勝手に作成して行って良いわけではなく、主務大臣が行う審査(実施に係る組織、検査方法、工程管理、その他主務省令で定める事項)を受ける必要があります。
【補足】太陽電池発電設備を設置する際の手続き
(設置者による事業用電気工作物の自己確認)
第51条の2 事業用電気工作物であつて公共の安全の確保上重要なものとして主務省令で定めるものを設置する者は、その使用を開始しようとするときは、当該事業用電気工作物が、第三十九条第一項の主務省令で定める技術基準に適合することについて、主務省令で定めるところにより、自ら確認しなければならない。ただし、第四十七条第一項の認可(設置の工事に係るものに限る。)又は同条第四項若しくは第四十八条第一項の規定による届出(設置の工事に係るものに限る。)に係る事業用電気工作物を使用するとき、及び主務省令で定めるときは、この限りでない。
2 前項の規定は、同項に規定する事業用電気工作物を設置する者が当該事業用電気工作物について主務省令で定める変更をした場合であつて、当該変更をした事業用電気工作物の使用を開始しようとするときに準用する。この場合において、同項中「事業用電気工作物が」とあるのは「変更をした事業用電気工作物が」と、「設置の工事」とあるのは「変更の工事」と読み替えるものとする。
3 第一項に規定する事業用電気工作物を設置する者は、同項(前項において準用する場合を含む。)の規定による確認をした場合には、当該事業用電気工作物の使用の開始前に、主務省令で定めるところにより、その結果を主務大臣に届け出なければならない。
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