【力率とは】計算方法・RLC回路・遅れ力率

力率とは?そのRLC回路や遅れ力率の計算方法についてまとめました。

【力率とは】進み力率・遅れ力率・計算式


力率(cosθ)とは、電圧と電流の位相差θ[rad]の余弦を計算したものです。
力率は、皮相電力Sが有効電力Pになる割合を表しています。

(1)   \begin{eqnarray*} cos\theta = \frac{P}{S} = \frac{P}{\sqrt{P^2+Q^2}} \end{eqnarray*}

※Qは無効電力

力率は100倍してパーセント表示で表すことが多いです。
力率が低い電気機器は、使用電力(W)に比べて電圧と電流の積(VA)が大きくなるため、「消費電力のわりにたくさん電流が流れる」ことになります。
そのため、力率の低い電気機器を導入する場合、大きな電流(アンペア数)の電気契約が必要となります。

種別 概要
遅れ力率 無効電力Qが下向きのベクトル(電圧より電流が遅れている状態)
進み力率 無効電力Qが上向きのベクトル(電圧より電流が進んでいる状態)

【計算例①】RL回路の力率

RL回路の有効電力P、皮相電力Sは次のようになります。

(2)   \begin{eqnarray*} P&=&RI^2\\ S&=&ZI^2=\sqrt{R^2+(wL)^2}I^2 \end{eqnarray*}

よって力率は次の通りです。

(3)   \begin{eqnarray*} cos\theta = \frac{R}{\sqrt{R^2+(wL)^2}} \end{eqnarray*}

【計算例②】RC回路の力率

RC回路の有効電力P、皮相電力Sは次のようになります。

(4)   \begin{eqnarray*} P&=&RI^2\\ S&=&ZI^2=\sqrt{R^2+(1/wC)^2}I^2 \end{eqnarray*}

よって力率は次の通りです。

(5)   \begin{eqnarray*} cos\theta = \frac{R}{\sqrt{R^2+(1/wC)^2}} \end{eqnarray*}

【計算例③】RLC回路の力率

RLC回路の有効電力P、皮相電力Sは次のようになります。

(6)   \begin{eqnarray*} P&=&RI^2\\ S&=&ZI^2=\sqrt{R^2+(wL-1/wC)^2}I^2 \end{eqnarray*}

よって力率は次の通りです。

(7)   \begin{eqnarray*} cos\theta = \frac{R}{\sqrt{R^2+(wL-1/wC)^2}} \end{eqnarray*}

【遅れ力率とは】力率・力率改善

遅れ力率とは、電圧より電流が遅れている状態での力率のことです。
一般的に、電気設備や電気機器の多くは誘導性であり、遅れ力率となります。
そのため、電気設備や電気機器の力率改善(無効電力を減らして、力率を1に近づけること)を行うには、負荷と並列に電力用コンデンサ(進み無効電力)を接続して、力率を改善します。

力率改善を行うことで、皮相電力を小さくできるため、回路網に流れる電流を減らすことができ、送配電線の電力損失の軽減や設備の有効利用などができます。

詳細記事
1 【遅れ力率とは】電力用コンデンサで力率改善

【例題】RL回路の力率

電源電圧Vが102V、抵抗の両端電圧Vrが90V、リアクタンスの両端電圧V_Lが49Vのとき、負荷の力率cos\theta[%]はいくらか。
ただし、電源、抵抗、リアクタンスは直接に接続されている。
抵抗の端子電圧をVr、リアクタンスの端子電圧をVx、電源電圧をV、負荷電流をIとしてベクトル図を描くと下図のようになる。

(8)   \begin{eqnarray*} cos\theta = \frac{V_r}{V}=\frac{90}{102}=0.88 \end{eqnarray*}

よって、力率は88%

参考文献・関連ページ
1 【電池入門】基本原理・アルゴリズム
2 電気・電子回路入門

コメント

  1. 新川 より:

    P=RI^2
    S=ZI^2
    のまちがいでは?

  2. 匿名 より:

    R LカイロのところのSの式でiになっているのですがi*2ではないでしょうか?