令和7年度上期(法規分野)に電験3種で出題された過去問題を解説付きでまとめています。
【問1】電気事業法に基づく供給指示及び供給命令
次の文章は、電気の需給状況が悪化した場合における電気事業法に基づく対応に関する記述である。
電力広域的運営推進機関(OCCTO)は、会員である小売電気事業者、一般送配電事業者、配電事業者又は特定送配電事業者の電気の需給の状況が悪化し、又は悪化するおそれがある場合において、必要と認めるときは、当該電気の需給の状況を改善するために、電力広域的運営推進機関の (ア) で定めるところにより、(イ) に対し、相互に電気の供給をすることや電気工作物を共用することなどの措置を取るように指示することができる。
また、経済産業大臣は、災害等により電気の安定供給の確保に支障が生じたり、生じるおそれがある場合において、公共の利益を確保するために特に必要があり、かつ適切であると認めるときは (ウ) に対し、電気の供給を他のエリアに行うことなど電気の安定供給の確保を図るために必要な措置をとることを命ずることができる。
上記の記述中の空白箇所(ア)から(ウ)に当てはまる組合せとして、適切なものを次の(1)から(5)のうちから一つ選べ。
| – | (ア) | (イ) | (ウ) |
|---|---|---|---|
| (1) | 保安規程 | 会員 | 電気事業者 |
| (2) | 保安規程 | 事業者 | 一般送配電事業者 |
| (3) | 送配電等業務指針 | 特定事業者 | 特定自家用電気工作物設置者 |
| (4) | 業務規程 | 事業者 | 特定自家用電気工作物設置者 |
| (5) | 業務規程 | 会員 | 電気事業者 |
解説
正解は(5)です。
問題文の記述は、電力広域的運営推進機関(推進機関)による指示と、経済産業大臣による供給命令等について述べたものです。
前半の記述は、電気事業法 第28条の44第1項が根拠となります。同条には「推進機関は、会員が営む電気事業について需給の状況が悪化し、又は悪化するおそれがある場合において、当該電気事業の需給の状況を改善するため必要があると認めるときは、業務規程で定めるところにより、会員に対し、次に掲げる事項を指示することができる。」と規定されています。したがって、(ア)には「業務規程」、(イ)には「会員」が入ります。
後半の記述は、電気事業法 第31条第1項が根拠となります。同条には「経済産業大臣は、電気の安定供給の確保に支障が生じ、又は生ずるおそれがある場合において公共の利益を確保するため特に必要があり、かつ、適切であると認めるときは電気事業者に対し、次に掲げる事項を命ずることができる。」と規定されています。したがって、(ウ)には「電気事業者」が入ります。
参考ページ

【問2】電気関係報告規則に基づく事故報告
受電電圧6.6kVの自家用電気工作物を設置する事業場における次の事例のうち、電気関係報告規則に基づいて、設置者が所轄産業保安監督部長に対し報告すべき事故に該当しないものを次の(1)から(5)のうちから一つ選べ。
(1) 電圧 100Vの屋内配線が過負荷により高熱となり、電気火災が発生して建物が半焼した。
(2) 落雷により高圧負荷開閉器が焼損し、一般送配電事業者に供給支障事故を発生させた。
(3) 高圧の断路器を誤って操作した電気工事作業者が、発生したアーク熱により火傷を負い、病院に入院した。
(4) 高圧の受電用真空遮断器が誤操作により損傷し、操作不能になった。
(5) 構内第1号柱が折損して構外に隣接する需要家の建物を損傷させた。
解説
正解は(4)です。
事故報告の基準は、電気関係報告規則 第3条第1項の表に定められています。
(1) [電気関係報告規則 第3条第1項の表第2号](電気火災事故)に該当します。「漏電、過放電その他の事由により発生した電気火災」による物件の損傷は報告対象です。
(2) [電気関係報告規則 第3条第1項の表第11号](供給支障事故)に該当します。一般送配電事業者の電力系統と接続されている自家用電気工作物の破損により、一般送配電事業者に供給支障を発生させた場合は報告対象です。
(3) [電気関係報告規則 第3条第1項の表第1号](死傷事故)に該当します。電気工作物の誤操作により人が負傷し、病院に入院した場合は報告対象です。
(4) 該当しません。電気工作物の破損事故(表第4号)が報告対象となるのは、電圧10,000V以上の需要設備などの主要電気工作物が破損した場合です。本事業場は受電電圧6.6kVであるため、真空遮断器の破損のみではこの項目による報告対象とはなりません。
(5) [電気関係報告規則 第3条第1項の表第3号](物損事故)に該当します。電気工作物の破損により、第三者の物件(需要家の建物)に損傷を与えた場合は報告対象です。
参考ページ

【問3】低圧電線路の絶縁性能
「電気設備技術基準」では、電気の供給のための低圧電線路の絶縁性能について、次のように規定している。
低圧電線路中絶縁部分の電線と大地との間及び電線の線心相互間の絶縁抵抗は、 (ア) に対する漏えい電流が (イ) の (ウ) 分の1を超えないようにしなければならない。
上記の記述中の空白箇所(ア)から(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)から(5)のうちから一つ選べ。
| – | (ア) | (イ) | (ウ) |
|---|---|---|---|
| (1) | 使用電圧 | 最大供給電流 | 2000 |
| (2) | 最大使用電圧 | 供給電流 | 2000 |
| (3) | 使用電圧 | 使用電流 | 1000 |
| (4) | 対地電圧 | 最大供給電流 | 1000 |
| (5) | 対地電圧 | 使用電流 | 2000 |
解説
正解は(1)です。
問題文の記述は、電気設備に関する技術基準を定める省令 第22条(低圧電線路の絶縁性能)が根拠となっています。
同条文にて「低圧電線路中絶縁部分の電線と大地との間及び電線の線心相互間の絶縁抵抗は、使用電圧に対する漏えい電流が最大供給電流の2000分の1を超えないようにしなければならない。」と規定されています。
したがって、(ア)には「使用電圧」、(イ)には「最大供給電流」、(ウ)には「2000」が入るのが正しい内容となります。
参考ページ

【令和7年度上期・問4】アークを生じる器具の施設
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」における、アークを生じる器具の施設に関する記述である。
高圧用又は特別高圧用の開閉器、遮断器又は避雷器その他これらに類する器具(以下「開閉器等」という。)であって、動作時にアークを生じるものは、次のいずれかにより施設すること。
a) 耐火性のものでアークを生じる部分を囲むことにより、木製の壁又は天井その他の (ア) から隔離すること。
b) 木製の壁又は天井その他の (ア) との離隔距離を、下表に規定する値以上とすること。
| 開閉器等の使用電圧の区分 | 離隔距離 |
|---|---|
| 高圧 | (イ) m |
| 特別高圧 35000V以下 | (ウ) m(動作時に生じるアークの方向及び長さを火災が発生するおそれがないように制限した場合にあっては、 (イ) m) |
| 特別高圧 35000V超過 | (ウ) m |
上記の記述中の空白箇所(ア)から(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)から(5)のうちから一つ選べ。
| – | (ア) | (イ) | (ウ) |
|---|---|---|---|
| (1) | 可燃性のもの | 0.5 | 1 |
| (2) | 造営物 | 0.5 | 1 |
| (3) | 可燃性のもの | 1 | 2 |
| (4) | 造営物 | 1 | 2 |
| (5) | 造営物 | 2 | 3 |
解説
正解は(3)です。
問題文の記述は、電気設備の技術基準の解釈 第22条(高圧又は特別高圧の電気機械器具の危険の防止)が根拠となっています。
省令第9条第2項の規定に基づき、同条文にて次のように規定されています。
a) は「耐火性のものでアークを生じる部分を囲むことにより、木製の壁又は天井その他の可燃性のものから隔離すること」とあります。
b) は表のとおり、高圧は「1m以上」、特別高圧(35,000V以下)は「2m以上(制限した場合は1m以上)」、35,000V超過は「2m以上」と規定されています。
これら規定により、(ア)には「可燃性のもの」、(イ)には「1」、(ウ)には「2」が入るのが正しい内容となります。
【令和7年度上期・問5】風車を支持する工作物の施設
次の文章は、「発電用風力設備に関する技術基準を定める省令」における、風車を支持する工作物に関する記述である。
a) 風車を支持する工作物は、自重、積載荷重、 (ア) 及び風圧並びに地震その他の振動及び (イ) に対して構造上安全でなければならない。
b) 発電用風力設備が小規模発電設備である場合には、風車を支持する工作物に取扱者以外の者が容易に (ウ) ことができないように適切な措置を講じること。
上記の記述中の空白箇所(ア)から(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)から(5)のうちから一つ選べ。
| – | (ア) | (イ) | (ウ) |
|---|---|---|---|
| (1) | 飛来物 | 衝撃 | 登る |
| (2) | 積雪 | 腐食 | 接近する |
| (3) | 飛来物 | 衝撃 | 接近する |
| (4) | 積雪 | 衝撃 | 登る |
| (5) | 飛来物 | 腐食 | 接近する |
解説
正解は(4)です。
問題文の記述は、発電用風力設備に関する技術基準を定める省令 第7条(風車を支持する工作物)が根拠となっています。
同条文にて次のように規定されています。
a) は第1項にて「風車を支持する工作物は、自重、積載荷重、積雪及び風圧並びに地震その他の振動及び衝撃に対して構造上安全でなければならない。」と規定されています。
b) は第2項にて「発電用風力設備が一般用電気工作物である場合には、風車を支持する工作物に取扱者以外の者が容易に登ることができないように適切な措置を講じること。」と規定されています。(注:現在の法令では「小規模事業用電気工作物」等への改正が含まれる場合がありますが、出典の試験問題に準じます)。
したがって、(ア)には「積雪」、(イ)には「衝撃」、(ウ)には「登る」が入るのが正しい内容となります。
【令和7年度上期・問6】低圧架空引込線等の施設
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく低圧架空引込線等の施設に関する記述である。
低圧架空引込線は、電線にケーブルを使用する場合を除き、引張強さ 2.30 kN 以上のもの又は直径 (ア) mm 以上の硬銅線を使用すること。ただし、径間が (イ) m 以下の場合に限り、引張強さ 1.38 kN 以上のもの又は直径 (ウ) mm 以上の硬銅線を使用することができる。
上記の記述中の空白箇所(ア)から(ウ)に記入する数値として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。
| – | (ア) | (イ) | (ウ) |
|---|---|---|---|
| (1) | 2.6 | 15 | 1.6 |
| (2) | 2.6 | 15 | 2.0 |
| (3) | 3.2 | 20 | 2.6 |
| (4) | 4.0 | 50 | 3.2 |
| (5) | 5.0 | 50 | 4.0 |
解説
正解は(1)です。
問題文の記述は、電気設備の技術基準の解釈 第116条第1項第一号が根拠となっています。
同条文にて「低圧架空引込線は、次の各号によること。一 電線は、ケーブルである場合を除き、引張強さ2.30kN以上のもの又は直径2.6mm以上の硬銅線であること。ただし、径間が15m以下の型にあっては、引張強さ1.38kN以上のもの又は直径1.6mm以上の硬銅線とすることができる。」と規定されています。
したがって、(ア)には「2.6」、(イ)には「15」、(ウ)には「1.6」が入るのが正しい内容となります。
【令和7年度上期・問7】低圧連系時の系統連系用保護装置
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」における低圧連系時の系統連系用保護装置に関する記述の一部である。
低圧の電力系統に分散型電源を連系する場合は、異常時に分散型電源を自動的に (ア) するための装置を施設すること。
「逆変換装置を用いて連系する場合」において、「逆潮流有りの場合」は、受電点その他異常の検出が可能な場所に、 (イ) リレー、 (ウ) リレー、周波数上昇リレー及び周波数低下リレーなどの保護リレー等を設置すること。
上記の記述中の空白箇所(ア)から(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)から(5)のうちから一つ選べ。
| – | (ア) | (イ) | (ウ) |
|---|---|---|---|
| (1) | 解列 | 過電圧 | 不足電圧 |
| (2) | 遮断 | 過電流 | 不足電圧 |
| (3) | 解列 | 過電流 | 過電圧 |
| (4) | 遮断 | 過電圧 | 不足電力 |
| (5) | 解列 | 不足電力 | 不足電圧 |
解説
正解は(1)です。
問題文の記述は、電気設備の技術基準の解釈 第227条(低圧連系時の系統連系用保護装置)が根拠となっています。
第1項第一号にて「次に掲げる異常を保護リレー等により検出し、分散型電源を自動的に解列すること」と規定されています。したがって、(ア)には「解列」が入ります。
また、同条第1項第三号イの227-1表によれば、逆変換装置を用いる逆潮流有りの連系では「過電圧リレー」「不足電圧リレー」「周波数上昇リレー」「周波数低下リレー」などの設置が必要とされています。
したがって、(イ)には「過電圧」、(ウ)には「不足電圧」が入るのが正しい内容となります。
【令和7年度上期・問8】低圧配線及び高圧配線の施設
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく低圧配線及び高圧配線の施設に関する記述である。
a) ケーブル工事により施設する低圧配線が、弱電流電線又は水管、ガス管若しくはこれらに類するもの(以下、「水管等」という。)と接近し又は交差する場合は、低圧配線が弱電流電線又は水管等と (ア) 施設すること。
b) 高圧屋内配線工事は、がいし引き工事(乾燥した場所であって (イ) した場所に限る。)又は (ウ) により施設すること。
上記の記述中の空白箇所(ア)から(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)から(5)のうちから一つ選べ。
| – | (ア) | (イ) | (ウ) |
|---|---|---|---|
| (1) | 接触しないように | 展開 | ケーブル工事 |
| (2) | の離隔距離を10cm以上となるように | 展開 | 金属管工事 |
| (3) | の離隔距離を10cm以上となるように | 隠ぺい | ケーブル工事 |
| (4) | 接触しないように | 展開 | ケーブル工事 |
| (5) | 接触しないように | 隠ぺい | 金属管工事 |
解説
正解は(4)です。
問題文の記述は、「電気設備の技術基準の解釈」の各条文が根拠となっています。
a) は、電気設備の技術基準の解釈 第167条第1項(低圧配線と弱電流電線等との接近又は交差)にて、ケーブル工事による場合は「低圧配線が弱電流電線又は水管等と接触しないように施設すること」と規定されています。
b) は、電気設備の技術基準の解釈 第168条第1項(高圧屋内配線の施設)にて、高圧屋内配線は「がいし引き工事(乾燥した場所であって展開した場所に限る。)」又は「ケーブル工事」により施設することと規定されています。
これら規定により、(ア)には「接触しないように」、(イ)には「展開」、(ウ)には「ケーブル工事」が入るのが正しい内容となります。
【令和7年度上期・問9】金属ダクト工事
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく低圧屋内配線の金属ダクト工事に関する記述である。
金属ダクトに収める電線の断面積(絶縁被覆の断面積を含む。)の合計は、ダクトの内部断面積の (ア) %以下であること。
金属ダクトは、 (イ) m以下の間隔で堅ろうに支持すること。
ダクト相互間は、 (ウ) 接続すること。
低圧屋内配線の使用電圧が300Vを超える場合は、ダクトに (エ) 接地工事を施すこと。ただし、人が触れるおそれがないように施設する場合は、この限りでない。
金属製外箱等には、 (オ) を施すこと。
上記の記述中の空白箇所(ア)から(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)から(5)のうちから一つ選べ。
| – | (ア) | (イ) | (ウ) | (エ) | (オ) |
|---|---|---|---|---|---|
| (1) | 20 | 50 | 電気的 | 使用 | 接触 |
| (2) | 32 | 48 | 電気的 | 対地 | 簡易接触 |
| (3) | 32 | 48 | 機械的 | 使用 | 接触 |
| (4) | 32 | 48 | 機械的 | 使用 | 簡易接触 |
| (5) | 20 | 3 | 電気的 | C種 | 簡易接触防護措置 |
解説
正解は(5)です。
問題文の記述は、電気設備の技術基準の解釈 第161条(金属ダクト工事)が根拠となっています。
同条文にて次のように規定されています。
第1項第一号:電線の断面積の合計は、ダクトの内部断面積の「20%以下」であること。
第1項第三号:支持点間の距離は「3m以下」であること。
第1項第四号:ダクト相互間は「電気的に完全に接続すること」。
第1項第十号:使用電圧が300Vを超える場合は「C種接地工事」を施すこと。
また、接触による危険を防止するため「簡易接触防護措置」を施すことが求められます。
したがって、(ア)には「20」、(イ)には「3」、(ウ)には「電気的」、(エ)には「C種」、(オ)には「簡易接触防護措置」が入るのが正しい内容となります。(注:選択肢の組合せは出典の形式に基づきます)。
【令和7年度上期・問10】高圧交流負荷開閉器のSO動作
次の文章は、地絡継電装置付き高圧交流負荷開閉器(区分開閉器)のSOG機能のうちSO(瞬時開放)動作に関する記述である。
GR付 PAS は負荷電流を遮断することができるが、 (ア) 電流のような大きな電流は遮断できないため、GR付 PASの (イ) 側から受電用遮断器の間で (ア) 事故が起きた場合は、PASの (ウ) 命令を一時的に保存して待機状態となる。
一般送配電事業者の配電用変電所の遮断器が動作することによって、配電線の停電を検出し、無電圧になった状態を確認してから (ウ) 動作を行う。したがって、配電用変電所の遮断器が再投入された場合でも、既にPASが (ウ) されているため、配電線の再閉路が成功することとなり、 (エ) 事故として取り扱われない。
上記の記述中の空白箇所(ア)から(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)から(5)のうちから一つ選べ。
| – | (ア) | (イ) | (ウ) | (エ) |
|---|---|---|---|---|
| (1) | 短絡 | 負荷 | 開放 | 配電線 |
| (2) | 短絡 | 電源 | 遮断 | 波及 |
| (3) | 地絡 | 電源 | 遮断 | 波及 |
| (4) | 地絡 | 電源 | 遮断 | 配電線 |
| (5) | 短絡 | 負荷 | 開放 | 波及 |
解説
正解は(5)です。
高圧交流負荷開閉器(PAS)のSOG(地絡・短絡)機能におけるSO(Storage Operation:瞬時開放)動作に関する記述です。
PASは「負荷電流」を遮断する能力はありますが、大きな「短絡電流」を遮断する能力はありません。そのため、需要家構内のPASの(イ)負荷側で(ア)短絡事故が発生した場合、大きな短絡電流を検出すると、PASが直接遮断するのではなく、変電所の遮断器が配電線を停電させた後の無電圧状態で、保存されていた(ウ)開放命令によりPASを開放します。
これにより、変電所の遮断器が再閉路(再投入)されたときには既に事故箇所が切り離されているため、配電線全体の停電を防ぐことができ、(エ)波及事故を防止します。
したがって、(ア)には「短絡」、(イ)には「負荷」、(ウ)には「開放」、(エ)には「波及」が入る(5)が正しい内容となります。
【問11】流込式水力発電所の運用
有効落差 90 m、最大使用水量が渇水量(1 年のうち 355 日は確保できる水量)の 2 倍、水車及び発電機の総合効率 80 %の流込式水力発電所がある。この発電所が利用している河川の流量 Q [m³/s] が図のような年間流量曲線(日数が 90 日以上の部分は、Q = -0.05d + 25.5 で表される。)であるとき、次の (a) 及び (b) の問に答えよ。ただし、水の密度を 1 000 kg/m³、重力加速度を 9.8 m/s² とする。
(a) この発電所の年間可能発電電力量の値 [GW・h] として、最も近いものを次の (1) から (5) のうちから一つ選べ。
(1) 47.9
(2) 72.8
(3) 84.3
(4) 94.5
(5) 97.4
(b) この発電所の設備利用率 [%] として、最も近いものを次の (1) から (5) のうちから一つ選べ。
(1) 50.0
(2) 63.0
(3) 69.5
(4) 75.9
(5) 88.0
解説
正解は (a) が (3)、(b) が (5) です。
(a) 年間可能発電電力量の計算
まず、最大使用水量 $Q_{max}$ を求めます。渇水量は $d = 355$ 日の流量なので、
$Q_{355} = -0.05 \times 355 + 25.5 = 7.75 \text{ m}^3/\text{s}$
最大使用水量はその 2 倍なので、 $Q_{max} = 7.75 \times 2 = 15.5 \text{ m}^3/\text{s}$ となります。
次に、河川流量が $Q_{max}$ 以上となる日数 $d$ を求めます。
$15.5 = -0.05d + 25.5$ より、 $d = 200$ 日です。
発電に使用できる電力量 $W$ は、 $d = 0$ から 200 日までは $Q_{max}$、200 日から 365 日までは河川流量 $Q$ を用いて計算します。
出力 $P = 9.8 \times Q \times H \times \eta$ [kW] の公式より、
$P = 9.8 \times Q \times 90 \times 0.8 = 705.6 \times Q$ [kW]
$W_1 (0\text{–}200\text{日}) = 705.6 \times 15.5 \times 24 \times 200 \approx 52.5 \text{ GW}\cdot\text{h}$
$W_2 (200\text{–}365\text{日})$ は流量曲線の積分(台形の面積)より、
$Q$ の平均は $(15.5 + 7.25) / 2 = 11.375 \text{ m}^3/\text{s}$
$W_2 = 705.6 \times 11.375 \times 24 \times (365 – 200) \approx 31.8 \text{ GW}\cdot\text{h}$
合計 $W = 52.5 + 31.8 = 84.3 \text{ GW}\cdot\text{h}$ となります。
(b) 設備利用率の計算
設備利用率は、「実際の発電電力量」を「最大出力で 365 日連続運転した場合の発電電力量」で除したものです。
最大出力 $P_{max} = 705.6 \times 15.5 \approx 10936.8 \text{ kW}$
最大可能電力量 $W_{max} = P_{max} \times 24 \times 365 \approx 95.8 \text{ GW}\cdot\text{h}$
設備利用率 $= (84.3 / 95.8) \times 100 \approx 88.0 \%$
となります。
本問題は計算問題ですが、水力発電の効率的な運用は、電気設備に関する技術基準を定める省令 第18条(損壊による供給支障の防止)などの観点からも、安全かつ適切な設備維持が前提となります。
【問12】配電系統の高調波電流
三相 3 線式配電線路から 6600 V で受電している三相負荷設備がある。この負荷設備から配電系統へ流出する第 5 調波電流を算出するにあたり、次の (a) 及び (b) に答えよ。
ただし、負荷設備は定格容量 500 kV・A で、力率改善用として 6 % 直列リアクトル付きコンデンサ設備が設置されており、この負荷設備から発生する第 5 調波電流は、負荷設備の定格電流に対し 15 % とする。また、受電点よりみた配電線路側の第 $n$ 調波に対するインピーダンスは 10 MV・A 基準で $j6 \times n$ [%]、コンデンサ設備のインピーダンスは 10 MV・A 基準で $j50 \times (6 \times n – 100 / n)$ [%] で表されるものとする。
(a) 高調波発生機器から発生する第 5 調波電流の受電点電圧に換算した電流 [A] の値として、最も近いのは次のうちどれか。
(1) 1.3
(2) 6.6
(3) 11.4
(4) 32.8
(5) 43.7
(b) 受電点から配電系統に流出する第 5 調波電流 [A] の値として、最も近いのは次のうちどれか。
(1) 1.2
(2) 6.2
(3) 10.8
(4) 30.9
(5) 41.2
解説
正解は (a) が (2)、(b) が (2) です。
(a) 第 5 調波電流源の電流 $I_{h5}$ の計算
まず、負荷設備の定格電流 $I_n$ を求めます。
$I_n = \frac{P}{\sqrt{3}V} = \frac{500 \times 10^3}{\sqrt{3} \times 6600} \approx 43.74 \text{ A}$
第 5 調波電流 $I_{h5}$ は定格電流の 15 % なので、
$I_{h5} = 43.74 \times 0.15 \approx 6.56 \text{ A}$
最も近い値は 6.6 A となります。
(b) 配電系統への流出電流 $I_{s5}$ の計算
第 5 調波($n = 5$)における各インピーダンスを求めます。
配電系統側: $Z_{s5} = j6 \times 5 = j30$ [%]
コンデンサ側: $Z_{c5} = j50 \times (6 \times 5 – 100 / 5) = j50 \times (30 – 20) = j500$ [%]
電流分流の法則により、系統側へ流れる電流 $I_{s5}$ は、
$I_{s5} = I_{h5} \times \frac{|Z_{c5}|}{|Z_{s5} + Z_{c5}|} = 6.56 \times \frac{500}{30 + 500} = 6.56 \times \frac{500}{530} \approx 6.19 \text{ A}$
最も近い値は 6.2 A となります。
高調波の抑制については、電気設備に関する技術基準を定める省令 第10条(電気設備の接地の方法等に関連する電気的障害の防止)や、供給品質の維持に関する規定が背景にあります。
【問13】太陽電池発電所の自家消費と余剰電力
出力 600 kW の太陽電池発電所を設置したショッピングセンターがある。ある日の太陽電池発電所の発電の状況とこのショッピングセンターにおける電力消費は図に示すとおりであった。すなわち、発電所の出力は朝の 6 時から 12 時まで直線的に増大し、その後は夕方 18 時まで直線的に下降した。また、消費電力は深夜 0 時から朝の 10 時までは 100 kW、10 時から 17 時までは 300 kW、17 時から 21 時までは 400 kW、21 時から 24 時は 100 kW であった。発電電力が消費電力を上回って余剰を生じたときは電力系統に送電している。次の (a) 及び (b) の問に答えよ。
(a) この日、太陽電池発電所から電力系統に送電した電力量の値 [kW・h] として、最も近いものを次の (1) から (5) のうちから一つ選べ。
(1) 900
(2) 1300
(3) 1500
(4) 2200
(5) 3600
(b) この日、ショッピングセンターで消費した電力量に対して太陽電池発電所が発電した電力量により自給した比率 [%] として、最も近いものを次の (1) から (5) のうちから一つ選べ。
(1) 35
(2) 38
(3) 46
(4) 52
(5) 58
解説
正解は (a) が (2)、(b) が (3) です。
(a) 系統への送電力量(余剰電力量)の計算
発電出力 $P_g(t)$ は 6 時から 12 時で $0 \to 600 \text{ kW}$、12 時から 18 時で $600 \to 0 \text{ kW}$ と変化します。
消費電力 $P_c(t)$ との差を考えます。
・9 時から 15 時の間、発電出力は 300 kW 以上となり、10 時から 17 時の消費 300 kW を上回る時間帯があります。
・図形的に、発電の三角形(面積 3600 kWh)から消費電力量の重なり部分を除いた面積を計算します。
計算の結果、送電した電力量(余剰分)は 1300 kWh となります。
(b) 自給比率の計算
まず、 1 日の全消費電力量 $W_c$ を求めます。
$W_c = (100 \times 10) + (300 \times 7) + (400 \times 4) + (100 \times 3) = 1000 + 2100 + 1600 + 300 = 5000 \text{ kW}\cdot\text{h}$
次に、太陽光発電のうち自家消費された電力量 $W_{self}$ を求めます。
$W_{self} = (\text{全発電量}) – (\text{余剰送電量}) = 3600 – 1300 = 2300 \text{ kW}\cdot\text{h}$
自給比率 $= (W_{self} / W_c) \times 100 = (2300 / 5000) \times 100 = 46 \%$
となります。
このような分散型電源の運用は、電気事業法 第28条の40(推進機関の業務)や供給計画に関連し、効率的なエネルギー利用の促進に寄与します。
関連コンテンツ




コメント