PAS破損による波及事故とは?VT内蔵型や太陽電池発電所の負荷遮断試験時に発生?【電験3種】

PAS破損による波及事故とは?VT内蔵型や太陽電池発電所の負荷遮断試験時に多い?についてをまとめました。

【1】VT内蔵PASの年次点検後の波及事故

事故事例2

産業保安監督部のHPで以下の事故情報が掲載されていました。

年次点検における地絡継電器試験の際、電気主任技術者がVT内蔵PASからSOG制御装置への電源線を外さないまま、継電器試験器によりSOG制御装置に100V電源を印加したため、VTにより高圧電路に6600Vが印加され、さらに高圧電路は短絡接地器具により短絡されていたので、短絡電流によりVTが焼損した。作業を終え復電した約15分後、VTが絶縁不良となり地絡し、地絡箇所が保護範囲外のため波及事故となった。
電気主任技術者は継電器試験の経験があり、本来はSOG制御装置の電源線を外して試験すべきことを知っていたが、短絡によりVTが焼損するおそれがあることを理解していなかったため、電源線をつけたまま試験を行った。
供給支障電力:1,130kW、供給支障時間:81分

引用元:https://www.safety-kinki.meti.go.jp/denryoku/2020accident/denki_jiko_2020fy.html

事故事例3

年次点検時、地絡方向継電器(DGR)が故障していることを認識したまま、年次点検を終えてPASを投入した。配電線の停電に気がつきPASを手動開放したが、その後、PASを再投入したため配電線の自動再閉路が失敗し、波及事故に至った。地絡原因は、年次点検中にDGR電源端子を接触させたことによるPAS内蔵VTの焼損と考えられる。
 供給支障電力:1,510kW、供給支障時間:43分

引用元:電力安全課メルマガ 2021年4月号

事故事例3

文章通り、「VT内蔵型PASでDGRの電源端子を接触させて短絡し、さらに短絡したことに気づかないままPASを投入して復電し、地絡が発生して波及事故に至った」という内容です。

一般的にVT内蔵PASとDGRには、以下のような注意事項が記載されていますので守る必要があります。

・DGRの制御電源はVT内蔵のため、別電源からの接続は不要
・VT電源から他の機器への電源供給は、絶対に行わないで下さい(容量不足により、VT焼損の恐れがあります。)。
・制御電源P1・P2間にAC100/110Vを印加すると、主回路に6600Vが誘起され危険ですので絶対に印加しないで下さい。

【電験3種・法規】39条〜41条「技術基準への適合」の出題範囲と攻略ポイント
電験3種の法規「電気事業法」の技術基準への適合の出題範囲とポイントについてまとめました。

コメント