配線理論とは?単相2線、単相3線、3相3線、断線についてまとめました。
【はじめに】「配電線」「送電線」の違い
【電気工事士】
「送電線」「送電線」の違いは次のとおりです。
種別 | 概要 |
---|---|
配電線 | 電柱を通っている電線(変電所(変圧器)~各家庭間で電気を送るのに使用) |
送電線 | 鉄塔を通っている電線(発電所~変電所(変圧器)間で電気を送るのに使用) |
つまり、配電線より送電線の方が高電圧となります。
【単相2線式】単相100V
【電験三種・電気工事士】
単相2線式(単相2線式100V)とは、様々な配電方式の中で最もシンプルなものです。
単相2線式では、その名のとおり「電圧線と中性線の2本の線」を利用するため、100[V]しか使用できません。
線種 | 概要 |
---|---|
黒線 | 非接地側電線(電圧線・100V) |
白線 | 接地側電線(中性線・0V) |
非接地側電線と接地側電線の電位差は100Vなので、負荷(一般家庭でコンセントに繋がれた家電製品など)には電流が流れます。
電力損失
電線1本あたりの電気抵抗をR[Ω]、抵抗に流れる電流をI[A]とします。
(電圧線と中性線がそれぞれ抵抗Rをもつ)
このとき、電力損失W[W]は次式で与えられます。(電圧線と中性線の計2本の電線で損失する電力)
(1)
【単相3線式】単相200V
【電験三種・電気工事士】
単相3線式では、「中性線」と「一方の電圧線」を利用すれば100[V]が利用できます。
また、2本の電圧線を利用すれば200[V]が利用できます。
左側:負荷の電圧降下は200[V]
右側:負荷の電圧降下は100[V]
分岐回路には2P2Eの配線用遮断器を取り付けします。
線種 | 概要 |
---|---|
黒線・赤線 | 非接地側電線(電圧線・100V) |
白線 | 接地側電線(中性線・0V) |
【例題1】
【問】以下のような単相3線式回路があるとする。
負荷抵抗の両端電圧はいくらか。
ここで、電線抵抗rは0.1[Ω]、負荷抵抗は20[Ω]とする。
不平衡回路なので、中性線には、20A-10A=10Aが流れます。
よって、キルヒホッフの法則より
(2)
【例題2】
【問】以下のような単相3線式回路があるとする。
a-b間の電圧はいくらか。
2つの抵抗負荷を流れる電流が共に10Aで、中性線には電流が流れていないため、中性線は無視します。
という事になります。
電線での電圧降下は10A×0.2Ω=2Vとなるので
a-b間の電圧は104V-2V=102Vとなります。
第二種 電気工事士試験 平成30年度上期 一般問題
【3相3線式】Y結線(スター結線)、Δ結線(デルタ結線)
【電験三種・電気工事士】
3相3線式では、「電圧線3本」を三相負荷につないで利用します。
3相3線式は、電動機など、多くの電力を使用する動力系に使われる配電方式です。
また三相3線式の結線方法には、「Y結線(スター結線)」と「Δ結線(デルタ結線)」があります。
Y結線(スター結線)
Y結線(スター結線)の場合、回路図は次のようになります。
用語 | 概要 |
---|---|
線間電圧 | 電線間にかかる電圧 |
相電圧Vp | 各相にかかる電圧 |
線電流IL | 電線間を流れる電流 |
相電流Ip | 各相を流れる電流 |
三相負荷 | 3つの負荷R1~R3 |
Y結線では、「線間電圧=相電圧」「線電流=相電流」となります。
ここで、線間電圧とは、電線間の電圧です。
(3)
※計算問題で素早く解けるように√2 ≒ 1.41、√3 ≒ 1.73は覚えておきましょう
計算例
三相負荷(R1~R3)が6Ω、線電流が20Aのとき、線間電圧は
(4)
Δ結線(デルタ結線)
Δ結線(デルタ結線)の場合、回路図は次のようになります。
Δ結線では、「線間電圧=相電圧」「線電流=相電流」となります。
(5)
3相3線式で省略できる理由
3相3線式では、位相が120度ずつずれた200Vの交流電力を3本の電線で送ります。
この場合、3相電流の和は0となるため、中性線(帰りの電線)は省略されます。
(※3線それぞれの電流の大きさが異なる場合、中性線(帰りの電線)は必要となり、3相4線式となる)
【断線】単相2線式
単相2線式の回路で断線が発生した時の状態は次のようになります。
■単相2線式(非接地側電線:黒色が断線)
電球(負荷)に電圧はかからないため、消灯します。
■単相2線式(接地側電線:白色が断線)
電球(負荷)に電圧はかからないため、消灯します。
【断線】単相3線式
■単相3線式(非接地側電線:黒色が断線)
電球1、3にかかる電圧が50Vと小さくなるため、消灯します。
電球2は100Vのままなので、点灯したままです。
■単相3線式(非接地側電線:赤色が断線)
電球2、3にかかる電圧が小さくなるため、消灯します。
電球1は100Vのままなので、点灯したままです。
■単相3線式(中性線:青色が断線)
電球1、2の電圧は100V、電球3の電圧は200Vのままなので、すべて点灯したままです。
ただし、100V用の電灯が仕様が異なる製品のものだと、100V用電灯には過電圧(100V以上の電圧)がかかり壊れる危険性があります。
そのため、電気工事のときに中性線は切断してはいけません。
【断線】三相3線式(Y結線)
■Y結線(赤色が断線)
電線(赤色)が断線すると、電球1には電流が流れないため消灯します。
電球2・3は分圧されて電圧が小さくなるため、消灯or暗くなります。
■Y結線(白色が断線)
電線(白色)が断線すると、電球1には電流が流れないため消灯します。
電球1・3は分圧されて電圧が小さくなるため、消灯or暗くなります。
■Y結線(黒色が断線)
電線(黒色)が断線すると、電球1には電流が流れないため消灯します。
電球1・2は分圧されて電圧が小さくなるため、消灯or暗くなります。
【断線】三相3線式(Δ結線)
■Δ結線(赤色が断線)
電線(赤色)が断線すると、電球1・3には電流が流れないため消灯します。
電球2は点灯したままです。
■Δ結線(白色が断線)
電線(白色)が断線すると、電球1・2には電流が流れないため消灯します。
電球3は点灯したままです。
■Δ結線(黒色が断線)
電線(黒色)が断線すると、電球2・3には電流が流れないため消灯します。
電球1は点灯したままです。
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