【配線設計とは】電線の太さ、配線用遮断器の動作時間、許容電流、遮断器・電線の太さ・コンセント

配線設計とは?電線の太さ、配線用遮断器の動作時間、許容電流、遮断器・電線の太さ・コンセントなどについてまとめました。

【電技解釈第148条】低圧幹線の施設、太さ

幹線とは、大元の配線のことです。幹線には大電流が流れます。
そのため、幹線が細い(抵抗が大きい)ほど、発熱も大きくなり危険となります。
電技解釈第33条では、幹線に流れる電流量によって、どのくらいの太さのものを使用するか定められています。

計算方法


各負荷の定格電流、幹線の許容電流などを次のように定義します。

I_MI_Hを計算します。
※上図の例なら

(1)   \begin{eqnarray*} I_M = I_{M1}+I_{M2}\\ I_H = I_{H1}+I_{H2}\\ \end{eqnarray*}

I_H \geqq I_Mなら許容電流I_Wは次のようになります。

(2)   \begin{eqnarray*} I_W\geqq I_M+I_H \end{eqnarray*}

I_H < I_Mなら許容電流I_Wは次のようになります。

(i) I_M \leqq50A のとき許容電流I_W

(3)   \begin{eqnarray*} I_W\geqq 1.25\times I_M+I_H \end{eqnarray*}

(ii)I_M > 50A のとき許容電流I_W

(4)   \begin{eqnarray*} I_W\geqq1.1 \times I_M + I_H \end{eqnarray*}

補足

需要率が100%ではない場合、それぞれの定格電流に需要率をかけた値を用いて計算します。
例えば需要率が90%ならば定格電流に0.9をかけます。

パラメータ 説明
I_W 許容電流(この値から幹線の太さを決定)
I_H 始動電流が大きくない負荷の定格電流の合計値[I_{H1}+i_{H2}+...]
I_M 始動電流が大きい負荷の定格電流の合計値[I_{M1}+i_{M2}+...]
I_{Hi} 始動電流が大きくない負荷Hiの定格電流(電動機以外の多くの電気機器)[i=1, 2, ….]
I_{Mi} 始動電流が大きい負荷Miの定格電流(電動機など)[i=1, 2, ….]
【断線】単相2線式、単相3線式、三相3線式
単相2線式、単相3線式、三相3線式の断線についてまとめました。

【電技解釈第33条】配線用遮断器の動作時間

電気設備の技術基準の解釈」の第33条では、配線用遮断器が動作するまでの時間が定められています。

この配線用遮断器は、ある一定以上の大きな電流が流れたとき、決められた時間以内に自動的に回路を遮断することで、火災などの事故を防ぎます。
(大電流が流れ続けると配線が燃えてしまいます)

大電流の大きさ 動作時間(定格電流の1.25倍) 動作時間(定格電流の2倍)
30A以下 60分 2分
30A超かつ50A以下 60分 4分
50A超かつ100A以下 120分 6分

※動作時間・・・大電流が流れ始めてから配線用遮断器が「断」になるまでの時間
※定格電流の1倍(定格20Aなら20A)では自動的に動作しないこと。

【電技解釈第33条】配線用遮断器の動作時間
電技解釈第33条で定められている配線用遮断器の動作時間についてまとめました。

【電技解釈第146条】低圧配線の電線における許容電流

電技解釈第146条では、電線の許容電流が定められています。
電線の許容電流とは、「電線の太さがいくらのとき、どのくらいの大きさの電流まで流せるか」というものです。

単線の場合

直径[mm] 許容電流[A] 語呂合わせ
1.6 27 イチロー次男
2.0 35 フミ子
2.6 48 風呂じゃ
3.2 62 サミロニー

より線の場合

複数本の撚り線は、直径でなく断面積で決まる点に注意。

断面積[mm^2] 許容電流[A] 語呂合わせ
2.0 27 2027年
3.5 37 見込みなし
5.5 49 ここに敷く
8.0 61 ヤロい
種別 概要
単線 1本の電線(導体)で構成されている電線(VVFケーブル、VVRケーブルなど)
より線 数本の細い素線をより合わせて構成されている電線

例)直径2.6mmの単線は、許容電流は48A

電流減少係数

電線を金属管などに通す場合、先程の許容電流の値に「電流減少係数」をかけた値が許容電流となります。「電流減少係数」は次のように同一管内の電線数に応じて値が変わります。

同一管内の電線数 電流減少係数 語呂合わせ
1~3 0.70 さな
4 0.63 しろさん
5~6 0.56 ころころ

例)金属管中に直径2.6mmの単線が4本通っているとき、電流減少係数は0.63なので、許容電流は48\times 0.63=30.24A

【電技解釈第146条】低圧配線の電線・許容電流・電流減少係数
電技解釈第146条で定められている低圧配線の電線・許容電流・電流減少係数についてまとめました。

【電気設備の技術基準の解釈 第149条】開閉器および過電流遮断器の施設

条件 内容
①原則3m以下 次の②③の条件にあてはまらない場合
8m以下 分岐した電線の許容電流 ≧ 幹線の過電流遮断器の定格電流の35%
制限なし 分岐した電線の許容電流 ≧ 幹線の過電流遮断器の定格電流の55%
【分岐回路の設計】開閉器および過電流遮断器の施設
分岐回路の設計における開閉器および過電流遮断器の施設についてまとめました。

【電技解釈 第149条】遮断器、電線の太さ、接続できるコンセント

遮断器、電線の太さ、接続できるコンセントの関係は、「電気設備の技術基準の解釈(電技解釈) 第149条」で次のように規定されています。

分岐回路を保護する遮断器の種類 分岐回路を保護する遮断器の定格電流 電線の太さ 接続可能なコンセントの定格電流
過電流遮断器 15A以下 1.6mm(直径) 15A以下
配線用遮断器 15A超え、20A以下 1.6mm 20A以下
過電流遮断器 15A超え、20A以下 2.0mm 20A以下
過電流遮断器 20A超え、30A以下 2.6mm 20A以上、30A以下
過電流遮断器 30A超え、40A以下 8mm2(断面積) 30A以上、40A以下
過電流遮断器 40A超え、50A以下 14mm2(断面積) 40A以上、50A以下
【分岐回路の設計】遮断器、電線の太さ、接続できるコンセント
分岐回路の設計における遮断器、電線の太さ、接続できるコンセントについてまとめました。

【例題】

【問1】
直径2.0mmのビニル絶縁電線4本を金属管内に納めたときの、電線1本あたりの許容電流はいくらか。

【解1】
直径と書かれているので単線(断面積ならより線)
①直径2.0mmのビニル絶縁電線(単線)の許容電流:35A
②4本を金属管に収めた場合の電流減少係数:0.63
③電線一本あたりの許容電流・・・35×0.63 ≒ 22A

【問2】
以下4パターンの選定が適切かどうか判別せよ。

■パターン①
配線用遮断器・・・定格電流20A
コンセントの定格電流・・・20A
電線の太さ・・・直径2.0mm
→定格電流20Aの配線用遮断器で保護される分岐回路に使用できるコンセントの定格電流は20A以下であり、電線の太さは直径1.6mm以上なので「適切」

■パターン②
配線用遮断器・・・定格電流30A
コンセントの定格電流・・・20A
電線の太さ・・・直径2.0mm
→30Aの配線用遮断器には、太さ2.6mm以上の電線が必要なので「不適切」

■パターン③
配線用遮断器・・・定格電流20A
コンセントの定格電流・・・30A
電線の太さ・・・直径1.6mm
→ 20Aの配線用遮断器に、30Aのコンセントは接続できないので「不適切」

■パターン④
配線用遮断器・・・定格電30A
コンセントの定格電流・・・15A
電線の太さ・・・直径2.6mm
→30Aの配線用遮断器に15Aのコンセントは接続できないので「不適切」

【問3】
合成樹脂製可とう電線管(PF管)による低圧屋内配線工事で、管内に断面積5.5 mm2の600 Vビニル絶縁電線(軟銅線)3本を収めて施設した場合、電線1本当たりの許容電流[ A ]はいくらか。
ただし、周囲温度は30°C以下、電流減少係数は0.70とする。

【解3】
・3本なのでより線
→断面積5.5mm^2のとき許容電流は49[A]
・電流減少係数を考慮
→49×0.7=34.3[A]

【問4】
定格電流50 Aの過電流遮断器で保護された低圧屋内幹線から分岐して、7mの位置に過電流遮断器を施設するとき、a – b間の電線の許容電流の最小値[A]はいくらか。

【解4】
分岐点から分岐先の過電流遮断器までの距離が8m以下の場合、分岐回路に用いる電線の許容電流が幹線の過電流遮断器の定格電流の35%以上である必要があります。
よって、許容電流は50×0.35=17.5(A)以上

【問5】
定格電流30 Aの配線用遮断器で保護される分岐回路の電線(軟銅線)の太さと、接続できるコンセントの図記号の組合せとして、適切なものははどれか(※コンセントは兼用コンセントではない)。

【解5】
定格電流30Aの配線用遮断器で保護されている分岐回路の電線は直径2.6mm(断面積5.3mm^2)以上である必要があります。また、接続可能なコンセントは、定格電流が20(A)以上30(A)以下のものであるため、正解は4。

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