電験三種(法規)における「高圧受電設備の管理」の攻略ポイントをまとめました。
【高圧受電設備】単線結線図の記号と役割一覧
受変電設備の単線結線図では、以下の記号(アルファベット)を用いた略称で、各種機器を示します。
その代表例を以下に示す。
記号 | 機器名 | 役割 |
---|---|---|
V | 電圧計(Voltmeters)) | 電圧を測定。変圧器VTを経由して測定する。 |
A | 電流計(Ammeters)) | 電流を測定。変流器CTを経由して測定する。 |
W | 電力計(Watt Meters)) | 電力を測定。VCT(電力需給用計器用変成器)を経由して測定する。 |
WH | 電力量計(Watt-hour Meters)) | 電力量を測定。電力会社が電気代を計算するための電力メータとして使われる。VCT(電力需給用計器用変成器)を経由して測定する。 |
PF(cosφ) | 力率計(Power-Factor Meters)) | 力率を測定。 |
F | 周波数計(Frequency Meters)) | 周波数を測定。 |
AS | 電流計切替スイッチ(Ammeter Change-over Switches)) | 三相の場合、このスイッチを使って表示される電圧の相をR相、S相、T相から選択するのに使う。 |
AS | 気中開閉器(Air Switches) | 電路遮断を気中で行う遮断器。 電力会社から電力を引き込む責任分界点において、その区分となる開閉器の他、バスダクトなど大電流を遮断するための開閉器や、配電盤に設けられる遮断器としても使用される。 |
LBS | 負荷開閉器(Load Break Switches) | に300kVA以下の設備の主遮断装置として用いられる高圧機器を回路から切り離すスイッチの1つ。事業場の配線電路や設備機器の故障などによる電気事故が発生した際に、電気の供給を遮断。主パワーヒューズ(PF)を組み込んで使用される物が多い。漏電(地絡)が起きた場合は、地絡継電器(GR)で電気の供給を遮断し、短絡(ショート)や過負荷(定格以上に使用)時に大電流が流れた場合、ヒューズが切れることで機器類を保護する。LBSを主遮断装置として使用する受電方式をPF/S型と呼び、他の用途では、高圧進相コンデンサや変圧器の保護用として使用される。 |
PAS | 高圧交流負荷開閉器(Pole Air Switches) | 構内に電柱を設置し高圧受電引き込みを行う地域で、電柱上部に設置する開閉器の一種。内部に零相変流器(ZCT)を組み込み、地絡継電器(GR)と組み合わせたものが主流。地絡電流を検知し、接続回路を開放することで、近隣への波及事故を防ぐ。 |
VCB | 真空遮断器(Vacuum Circuit Breakers) | 遮断装置の1つ。事業場の配線電路や設備機器の故障などによる電気事故が発生した際に、電気回路を閉じて電気の供給を遮断する。設備容量が300KVA以上の主遮断装置として設置されることが多い。LBSより大電流を遮断できる。昔は絶縁油を用いた油入遮断器(OCB:Oil Circuit Breaker)が多かったが、現在は高真空容器に電極を収め絶縁性を高めた真空遮断器(VCB:Vacuum Circuit Breaker)が主流。CBを主遮断装置として使用する受電方式をCB型という。 |
PCS | 高圧カットアウト(Primary Cutout Switches) | 高圧機器を回路から切り離すスイッチ。変圧器保護用(300kVAまで)や高圧進相コンデンサ(50kvarまで)保護用として利用する場合、内部にヒューズを入れ、ヒューズの定格電流に達することでヒューズが切れ、過負荷、短絡事故を防ぐ。開閉機能のみを使用する場合には、素通し線を入れる(素通し線は電流によって切れない)。開閉性能が低く、開閉する頻度の高い箇所には設置されない。 |
PF | 電力ヒューズ(Power Fuses) | ヒューズリンクにある一定以上の電流が所定の時間以上流れると、ヒューズエレメントがジュール熱で溶断し、電気回路を開放させる保護措置。 |
DS | 断路器(Disconnecting Switches) | 電源を回路から切り離すスイッチの一種。保守点検や修理を行う際、確実に無電圧状態にすることで、感電などの事故を防ぐ。ディスコン棒というフックの付いた棒で開閉する。高圧気中開閉器(PAS)や遮断器(CB)と異なり、電流が流れている状態で強制的に回路を切り離すとアーク(火花)が発生し、短絡事故を招く恐れがある。 |
ELCB | 漏電遮断器(Earth Leakage Circuit Breakers) | 漏電を検知した際に回路を遮断し、電気事故を防ぐための保護装置。漏電ブレーカーともいう。 |
MCCB | 配線用遮断器(Molded-Case Circuit Breakers) | 二次側(負荷側)で過負荷電流や短絡電流などの異常電流が流れたときに電路を開放し、一次側(電源側)からの電源供給を遮断する保護装置。 |
T | 変圧器(Transformars) | 電圧を変換する装置。例えば、6600V以上の高圧を、変圧器で200Vや100Vの低圧に変換し、一般家庭に供給したりするのに使われます。 |
VT | 計器用変成器(Voltage Transformars) | 測定器用に電圧を小さくするる機器。高電圧回路の電圧を計器や継電器に必要な電圧(通常は110V)に変換する。 |
CT | 変流器(Current Transformars) | 大電流回路の電流を電流計や継電器に直接つなげられるよう、小電流(通常5A)に変換する機器。 |
VCT | VCT(電力需給用計器用変成器) | 計器用変圧器(VT)と変流器(CT)を1つにしたもの。主に電力会社の需給用メーター(WH)に接続される。 |
ZCT | 零相変流器(Zero-Phase-sequence Current Transformars) | 3線に流れる電流のバランスを測定し地絡電流(漏電)を検出する機器。地絡継電器(GR)と組み合わせて使用。正常な状態では3線に流れる電流を零相変流器で計測すると、値はゼロになるが、地絡が発生すると電流のバランスに崩れが生じ、この値が変わる。地絡継電器(GR)に設定された地絡電流に達すると主遮断装置(VCB)を動作させ、電路を遮断させる。 |
SC | 進相コンデンサ(Static Capacitor) | 力率を改善する機器。電動機(モーターなど)を動かす際、内部のインダクタンス成分で無効電力が生じるため、高圧進相コンデンサにより、無効電力を減らし、力率(電力の効率)を改善します。電力会社でも使用を推奨しており、力率が改善した高圧事業所では基本料金の割引が受けられる。 |
SR | 直列リアクトル(Series Reactor) | コンデンサに直列に接続され、電力系統に存在する高調波の抑制や電力用コンデンサの開閉により、過渡的に発生する過大な電流・電圧などの特異現象による弊害を防止する機器。 |
OCR | 過電流継電器(Overcurrent Relays) | 変流器(CT)を通じて過負荷電流や短絡電流を検知したときに、VCBなどの遮断器を動作させる保護装置。 |
GR | 地絡継電器(Ground Relays) | 地絡電流(漏電)を検出する機器。零相変流器(ZCT)と組み合わせて使用。事業場でケーブルの劣化等により地絡事故が発生したとき、地絡電流を零相変流器(ZCT)で検出し、送電線に接続された遮断器(PASやLBSなど)を動作させる信号を発生する。遮断器が動作(電路を遮断)することで、地絡地点と正常な回路を電気的に切り離し、近隣への波及事故(停電等)を防ぐ。ただし、地絡地点が構内か、他の事業場のものか判別できず、他の事業場で発生した地絡も検出して動作してしまう(もらい事故)。 |
DGR | 地絡方向継電器(Directional Ground Relays) | GR(地絡継電器)の上位互換で、地絡地点が構内か、他の事業場のものか判別できるため、外部の地絡事故で動作(もらい事故)することを防ぐことができる。仕組みは、電圧要素を零相電圧検出装置(ZVT、ZPD等)で検出し、電流位相(方向)を判断している。 |
CH | ケーブルヘッド(Cable Heads) | 設備や機器とケーブルを接続する |
TC | 引外しコイル(Trip Coils) | 遮断機に内蔵される装置で、過電流継電器が異常電流を検知した際、主接点が閉じて電流が流れることで励磁してラッチ機構を外し遮断器を動作させるための装置。 |
GE | 発電機(Generaters) | 電磁誘導を利用し機械エネルギーから電気エネルギーを得る機械装置。停電などの非常時に燃料で発電したりするものなどがある。 |
LA | 避雷器(Lightning Arresters) | 落雷から電気設備を守る機器。引き込部付近や高圧気中開閉器(PAS)に内蔵される。落雷によって非常に高い電圧(雷サージ電圧)が発生したときだけLAが低抵抗になることで、LAに大電流が流れ込んでそのまま大地に放電する。それにより受変電設備に流れ込んで故障するのを防ぐ。通常時はLAは高抵抗なので負荷電流はLAに流れ込まない。 |
E | 接地(Earthing) | 電気設備や電気機器、電路を大地と電気的に接続すること。 |
ET | 接地端子(Earth Terminals) | 電気設備や電気機器、電路を接地するための接続端子。 |
【高圧受電設備の種類】キュービクル式(CB形とPF・S形)と開放形
高圧受電設備は、キュービクル式と開放形に大別されます。
キュービクル式高圧受電設備はさらに、CB形とPF・S形に分類されます。
この2つの違いは以下のとおり主遮断装置が異なります。
種別 | 特徴 |
---|---|
キュービクル式高圧受電設備(CB形) | 主遮断装置に「高圧交流遮断器(CB)」を用いる。高圧側の短絡保護は「高圧交流遮断器(CB)」と「過電流継電器(OCR)」を組み合わせて行う。300kVAを超える |
キュービクル式高圧受電設備(PF・S形) | 主遮断装置に「高圧限流ヒューズ(PF)」を内蔵した「高圧交流負荷開閉器(LBS)」を用いる。高圧側の短絡保護は「高圧限流ヒューズ(PF)」が行う。300kVA以下の容量が小さな受電設備に用いられる。 |
【試験】
トピック | 概要 |
---|---|
油入変圧器における絶縁油の劣化 | 自家用需要家が絶縁油の保守、点検のために行う試験には, 絶縁耐力試験や酸価度試験が一般的である。絶縁油(特に変圧器油)は、使用中に次第に劣化して酸価が上がり, 抵抗率や耐圧性能が低下し、泥状のスラッジができる。劣化の主原因は、油と接触する空気が油中に溶け込み、運転による温度の上昇によって酸化反応が促進されることである。 |
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