【電験3種】電技29条・電線による他の工作物等への危険の防止

電験3種における電技29条・電線による他の工作物等への危険の防止についてをまとめました。

【電技29条】電線による他の工作物等への危険の防止

(電線による他の工作物等への危険の防止)
第29条 電線路の電線又は電車線等は、他の工作物又は植物と接近し、又は交さする場合には、他の工作物又は植物を損傷するおそれがなく、かつ、接触、断線等によって生じる感電又は火災のおそれがないように施設しなければならない。

法令・告示等 資料
解釈 電気設備の技術基準の解釈(電技解釈)
解説 電気設備の技術基準の解釈の解説
資料 告示(上記の解釈や解説など)は経済産業省のHP(https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/law/denjikokuji.html)に掲載されています。

【解釈72条】低高圧架空電線と道路等との接近又は交差

【低高圧架空電線と道路等との接近又は交差】(省令第29条)
第72条 低圧架空電線又は高圧架空電線が、道路(車両及び人の往来がまれであるものを除く。以下この条におい
て同じ。)、横断歩道橋、鉄道又は軌道(以下この条において「道路等」という。)と接近状態に施設される場合は、次の各号によること。
一 高圧架空電線路は、高圧保安工事により施設すること。
二 低圧架空電線又は高圧架空電線と道路等との離隔距離(道路若しくは横断歩道橋の路面上又は鉄道若しくは
軌道のレール面上の離隔距離を除く。)は、次のいずれかによること。
イ 水平離隔距離を、低圧架空電線にあっては1m以上、高圧架空電線にあっては1.2m以上とすること。
ロ 離隔距離を3m以上とすること。
2 高圧架空電線が、道路等の上に交差して施設される場合は、高圧架空電線路を高圧保安工事により施設すること。
3 低圧架空電線又は高圧架空電線が、道路等の下方に接近又は交差して施設される場合における、低圧架空電線又
は高圧架空電線と道路等との離隔距離は、第78条第1項の規定に準じること。

【解釈55条】架空電線路の防護具

【架空電線路の防護具】(省令第29条)
第55条 低圧防護具は、次の各号に適合するものであること。
一 構造は、外部から充電部分に接触するおそれがないように充電部分を覆うことができること。
二 完成品は、充電部分に接する内面と充電部分に接しない外面との間に、1,500Vの交流電圧を連続して1分間加えたとき、これに耐える性能を有すること。
2 高圧防護具は、次の各号に適合するものであること。
一 構造は、外部から充電部分に接触するおそれがないように充電部分を覆うことができること。
二 完成品は、乾燥した状態において15,000Vの交流電圧を、また、日本産業規格 JIS C 0920(2003)「電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)」に規定する「14.2.3 オシレーティングチューブ又は散水ノズルによる第二特性数字3に対する試験」の試験方法により散水した直後の状態において10,000Vの交流電圧を、充電部分に接する内面と充電部分に接しない外面との間に連続して1分間加えたとき、それぞれに耐える性能を有すること。
3 使用電圧が35,000V以下の特別高圧電線路に使用する、特別高圧防護具は、次の各号に適合するものであること。
一 材料は、ポリエチレン混合物であって、電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈別表第一附表第十四1(1)の図に規定するダンベル状の試料が次に適合するものであること。
イ 室温において引張強さ及び伸びの試験を行ったとき、引張強さが9.8N/mm2以上、伸びが350%以上であること。
ロ 90±2℃に96時間加熱した後60時間以内において、室温に12時間放置した後にイの試験を行ったとき、引張強さが前号の試験の際に得た値の80%以上、伸びがイの試験の際に得た値の60%以上であること。
二 構造は、厚さ2.5mm以上であって、外部から充電部分に接触するおそれがないように充電部分を覆うことができること。
三 完成品は、乾燥した状態において25,000Vの交流電圧を、また、日本産業規格JIS C 0920(2003)「電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)」に規定する「14.2.3 オシレーティングチューブ又は散水ノズルによる第二特性数字3に対する試験 b) 付図5に示す散水ノズル装置を使用する場合の条件」の試験方法により散水した直後の状態において22,000Vの交流電圧を、充電部分に接する内面と充電部分に接しない外面との間に、連続して1分間加えたとき、それぞれに耐える性能を有すること。

【解釈71条】低高圧架空電線と建造物との接近

【低高圧架空電線と建造物との接近】(省令第29条)
第71条 低圧架空電線又は高圧架空電線が、建造物と接近状態に施設される場合は、次の各号によること。
一 高圧架空電線路は、高圧保安工事により施設すること。
二 低圧架空電線又は高圧架空電線と建造物の造営材との離隔距離は、71-1表に規定する値以上であること。

71-1表

架空電線の種類 区分 離隔距離
ケーブル 上部造営材の上方 1m
ケーブル その他 0.4m
高圧絶縁電線又は特別高圧絶縁電線を使用する、低圧架空電線 上部造営材の上方 1m
高圧絶縁電線又は特別高圧絶縁電線を使用する、低圧架空電線 その他 0.4m
その他 上部造営材の上方 2m
その他 人が建造物の外へ手を伸ばす又は身を乗り出すことなどができない部分 0.8m
その他 その他 1.2m

2 低圧架空電線又は高圧架空電線が、建造物の下方に接近して施設される場合は、低圧架空電線又は高圧架空電線と建造物との離隔距離は、71-2表に規定する値以上とするとともに、危険のおそれがないように施設すること。

71-2表

使用電圧の区分 電線の種類 離隔距離
低圧 高圧絶縁電線、特別高圧絶縁電線又はケーブル 0.3m
低圧 その他 0.6m
高圧 ケーブル 0.4m
高圧 その他 0.8m

3 低圧架空電線又は高圧架空電線が、建造物に施設される簡易な突き出し看板その他の人が上部に乗るおそれがない造営材と接近する場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、低圧架空電線又は高圧架空電線と当該造営材との離隔距離は、第1項第二号及び第2項の規定によらないことができる。
一 絶縁電線を使用する低圧架空電線において、当該造営材との離隔距離が0.4m以上である場合
二 電線に絶縁電線、多心型電線又はケーブルを使用し、当該電線を低圧防護具により防護した低圧架空電線を、当該造営材に接触しないように施設する場合
三 電線に高圧絶縁電線、特別高圧絶縁電線又はケーブルを使用し、当該電線を高圧防護具により防護した高圧架空電線を、当該造営材に接触しないように施設する場合

【解釈77条】低高圧架空電線とアンテナとの接近又は交差

【低高圧架空電線とアンテナとの接近又は交差】(省令第29条)

第77条 低圧架空電線又は高圧架空電線が、アンテナと接近状態に施設される場合は、次の各号によること。
一 高圧架空電線路は、高圧保安工事により施設すること。
二 架空電線とアンテナとの離隔距離(架渉線により施設するアンテナにあっては、水平離隔距離)は、77-1表
に規定する値以上であること。

77-1表

架空電線の種類 架空電線の種類 離隔距離
低圧架空電線 高圧絶縁電線、特別高圧絶縁電線又はケーブル 0.3m
低圧架空電線 その他 0.6m
高圧架空電線 ケーブル 0.4m
高圧架空電線 その他 0.8m

2 低圧架空電線又は高圧架空電線が、アンテナの下方に接近する場合は、低圧架空電線又は高圧架空電線とアンテナとの水平距離は、アンテナの支柱の地表上の高さに相当する距離以上であること。ただし、技術上やむを得ない場合において、次の各号により施設する場合はこの限りでない。
一 前項の規定に準じるとともに、危険のおそれがないように施設すること。
二 架空電線が高圧架空電線である場合は、次のいずれかによること。
イ アンテナが架渉線により施設するものである場合は、当該アンテナを、高圧架空電線路の支持物に係る第59条、第60条及び第62条の規定に準じて施設すること。
ロ 高圧架空電線とアンテナとの水平距離が2.5m以上であり、かつ、アンテナの支柱の倒壊等の際に、アンテナが高圧架空電線に接触するおそれがない範囲に高圧架空電線を施設すること。
3 低圧架空電線又は高圧架空電線が、架渉線により施設するアンテナと交差する場合は、低圧架空電線又は高圧架空電線をアンテナの上に、第1項の規定(第二号における「水平離隔距離」は「離隔距離」と読み替えるものとする。)に準じて施設すること。ただし、技術上やむを得ない場合において、前項各号の規定に準じて施設する(同項第二号ロにおける「水平距離」は「離隔距離」と読み替えるものとする。)場合は、低圧架空電線又は高圧架空電線をアンテナの下に施設することができる。

【解釈79条】低高圧架空電線と植物との接近

【低高圧架空電線と植物との接近】(省令第5条第1項、第29条)
第79条 低圧架空電線又は高圧架空電線は、平時吹いている風等により、植物に接触しないように施設すること。
ただし、次の各号のいずれかによる場合は、この限りでない。
一 低圧架空電線又は高圧架空電線を、次に適合する防護具に収めて施設すること。
イ 構造は、絶縁耐力及び耐摩耗性を有する摩耗検知層の上部に摩耗層を施した構造で、外部から電線に接触するおそれがないように電線を覆うことができること。
ロ 完成品は、摩耗検知層が露出した状態で、次に適合するものであること。
(イ) 低圧架空電線に使用するものは、充電部分に接する内面と充電部分に接しない外面との間に、1,500Vの交流電圧を連続して1分間加えたとき、これに耐える性能を有すること。
(ロ) 高圧架空電線に使用するものは、乾燥した状態において15,000Vの交流電圧を、また、日本産業規格 JIS C 0920(2003)「電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)」に規定する「14.2.3 オシレーティングチューブ又は散水ノズルによる第二特性数字3に対する試験」の試験方法により散水した直後の状態において10,000Vの交流電圧を、充電部分に接する内面と充電部分に接しない外面との間に連続して1分間加えたとき、それぞれに耐える性能を有すること。
(ハ) 日本産業規格 JIS C 3005(2000)「ゴム・プラスチック絶縁電線試験方法」の「4.29 摩耗」の規定により、おもりの重さを24.5N、回転数を500回転として摩耗試験を行ったとき、防護具に穴が開かないこと。
二 低圧架空電線又は高圧架空電線が、次に適合するものであること。
イ 構造は、絶縁電線の上部に絶縁耐力及び耐摩耗性を有する摩耗検知層を施し、更にその上部に摩耗層を施した構造で、絶縁電線を一様な厚さに被覆したものであること。
ロ 完成品は、摩耗検知層が露出した状態で、次に適合するものであること。
(イ) 清水中に1時間浸した後、導体と大地との間に79-1表に規定する交流電圧を連続して1分間加えたとき、これに耐える性能を有すること。

79-1表

電線の種類 交流電圧
低圧 導体の断面積が300mm2以下のもの 4,500V
低圧 導体の断面積が300mm2を超えるもの 5,000V
高圧 27,000V

(ロ) 日本産業規格 JIS C 3005(2000)「ゴム・プラスチック絶縁電線試験方法」の「4.29 摩耗」の規定により、おもりの重さを24.5N、回転数を500回転として摩耗試験を行ったとき、絶縁電線が露出しないこと。
三 高圧の架空電線にケーブルを使用し、かつ、日本電気技術規格委員会規格 JESC E2020(2016)「耐摩耗性能を有する『ケーブル用防護具』の構造及び試験方法」の「2.技術的規定」に適合する防護具に収めて施設すること。

【解釈82条】低圧架空電線路の施設の特例

【低圧架空電線路の施設の特例】(省令第6条、第25条第1項、第28条、第29条、第32条第1項)
第82条 農事用の電灯、電動機等に電気を供給する使用電圧が300V以下の低圧架空電線路を次の各号により施設す
る場合は、第65条第1項第二号及び第68条第1項の規定によらないことができる。
一 次のいずれかに該当するもの以外のものであること。
イ 建造物の上に施設されるもの
ロ 道路(歩行の用にのみ供される部分を除く。)、鉄道、軌道、索道、他の架空電線、電車線、架空弱電流電線等又はアンテナと交差して施設されるもの
ハ ロに掲げるものと低圧架空電線との水平距離が、当該低圧架空電線路の支持物の地表上の高さに相当する距離以下に施設されるもの
二 電線は、引張強さ1.38kN以上の強さのもの又は直径2mm以上の硬銅線であること。
三 電線の地表上の高さは、3.5m(人が容易に立ち入らない場所に施設する場合は、3m)以上であること。
四 支持物に木柱を使用する場合は、その太さは、末口で直径9cm以上であること。
五 径間は、30m以下であること。
六 他の電線路に接続する箇所の近くに、当該低圧架空電線路専用の開閉器及び過電流遮断器を各極(過電流遮断器にあっては、中性極を除く。)に施設すること。(関連省令第14条)
2 1構内だけに施設する使用電圧が300V以下の低圧架空電線路を次の各号により施設する場合は、第65条第1項第二号及び第78条第1項の規定によらないことができる。
一 次のいずれかに該当するもの以外のものであること。
イ 建造物の上に施設されるもの
ロ 道路(幅5mを超えるものに限る。)、横断歩道橋、鉄道、軌道、索道、他の架空電線、電車線、架空弱電流電線等又はアンテナと交差して施設されるもの
ハ ロに掲げるものと低圧架空電線との水平距離が、当該低圧架空電線路の支持物の地表上の高さに相当する距離以下に施設されるもの
二 電線は、引張強さ1.38kN以上の絶縁電線又は直径2mm以上の硬銅線の絶縁電線であること。ただし、径間が10m以下の場合に限り、引張強さ0.62kN以上の絶縁電線又は直径2mm以上の軟銅線の絶縁電線を使用することができる。
三 径間は、30m以下であること。
四 電線と他の工作物との離隔距離は、82-1表に規定する値以上であること。

82-1表

区分 架空電線の種類 離隔距離
造営物の上部造営材の上方 全て 1m
その他 高圧絶縁電線、特別高圧絶縁電線又はケーブル 0.3m
その他 その他 0.6m

3 1構内だけに施設する使用電圧が300V以下の低圧架空電線路であって、その電線が道路(幅5mを超えるものに限る。)、横断歩道橋、鉄道又は軌道を横断して施設されるもの以外のものの電線の高さは、第68条第1項の規定によらず、次の各号によることができる。
一 道路を横断する場合は、4m以上であるとともに、交通に支障のない高さであること。
二 前号以外の場合は、3m以上であること。

【解釈103条】35,000Vを超える特別高圧架空電線と植物との接近

【35,000Vを超える特別高圧架空電線と植物との接近】(省令第29条)
第103条 使用電圧が35,000Vを超える特別高圧架空電線と植物との離隔距離は、103-1表に規定する値以上であること。
ただし、ケーブルを使用する使用電圧が100,000V未満の特別高圧架空電線を植物に接触しないように施設する場合は、この限りでない。

103-1表

使用電圧の区分 離隔距離
35,000Vを超え60,000V以下 2m
60,000V超過 (2+c)m

(備考) c は、使用電圧と60,000Vの差を10,000Vで除した値(小数点以下を切り上げる。)に0.12を乗じたもの

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