【電験3種・法規】頻出問題「電気事業法における目的・電気事業の類型(小売・一般送配電等)および供給電圧・周波数の維持義務」の試験対策

電験$3$種法規科目における「電気事業法における目的・電気事業の類型(小売・一般送配電等)および供給電圧・周波数の維持義務」に関する過去問解説です。

電気事業法における目的・電気事業の類型および供給電圧・周波数の維持義務

電気事業法は、電力の安定供給の確保、電気使用者の利益保護、および電気保安の確保を根幹とする基本法です。
平成$28$年の電力システム改革により、従来の地域独占体制から発電・送配電・小売の事業類型へと再編されました。
各事業類型に応じた参入規制(許可・登録・届出)や供給能力の確保義務が課されています。
また、高品質な電気を供給するため、事業者に電圧および周波数の維持義務が課せられています。
根拠法令は、「電気事業法」第$1$条(目的)、第$2$条(定義)、第$26$条(電圧及び周波数)です。
あわせて「電気事業法施行規則」第$38$条(電圧及び周波数の値)および「電気設備に関する技術基準を定める省令」第$2$条(電圧の種別等)に基づきます。

制度設計および品質維持基準

事業目的、事業類型の参入規制、供給電圧・周波数の維持値、および電圧種別の区分を整理した一覧です。

管理項目 法的要件・基準値 制度上の位置付けおよび技術的要件 試験における頻出引っかけ
法第$1$条の目的規定 使用者の利益保護、公共の安全確保、環境保全 電気工作物の工事、維持及び運用を「規制」することにより目的を達成します。 「規制」を「規定」や「振興」とする誤り、「公共の安全」を「電気の安全」とする誤り
小売電気事業の参入区分 経済産業大臣の「登録」 一般の需要に応じ電気を供給する事業です。需要に応ずる供給能力の確保義務を負います。 参入手続きを「許可」や「届出」とする誤り、「特定需要」とする誤り
一般送配電事業の参入区分 経済産業大臣の「許可」 自らの送配電設備により託送供給および電力量調整供給を行い、最終保障供給義務を負います。 参入手続きを「登録」や「認可」とする誤り、「特定卸供給」とする誤り
標準電圧$100\text{ V}$の維持値 $101\text{ V}$の上下$6\text{ V}$を超えない値 供給地点において$95\text{ V}$以上$107\text{ V}$以下の範囲内に維持する努力義務です。 維持基準を「$100\text{ V}$の上下$6\text{ V}$」や「$100\text{ V}$の上下$4\text{ V}$」とする誤り
標準電圧$200\text{ V}$の維持値 $202\text{ V}$の上下$20\text{ V}$を超えない値 供給地点において$182\text{ V}$以上$222\text{ V}$以下の範囲内に維持する努力義務です。 維持基準を「$200\text{ V}$の上下$20\text{ V}$」や「$202\text{ V}$の上下$12\text{ V}$」とする誤り
標準周波数の維持値 標準周波数に「等しい」値 商用周波数($50\text{ Hz}$または$60\text{ Hz}$)に正確に等しい値への維持が求められます。 基準を「上下$0.2\text{ Hz}$を超えない値」などの数値規定とする誤り
電圧の種別区分 低圧:直流$750\text{ V}$以下、交流$600\text{ V}$以下 高圧は直流$750\text{ V}$、交流$600\text{ V}$を超え$7\text{ }000\text{ V}$以下、特高は$7\text{ }000\text{ V}$超です。 直流低圧を「$600\text{ V}$」、高圧上限を「$6\text{ }600\text{ V}$」とする誤り

令和元年 問1

次の文章は、「電気事業法」に基づく電気事業に関する記述である。

a 小売供給とは、 (ア) の需要に応じ電気を供給することをいい、小売電気事業を営もうとする者は、経済産業大臣の (イ) を受けなければならない。小売電気事業者は、正当な理由がある場合を除き、その小売供給の相手方の電気の需要に応ずるために必要な (ウ) 能力を確保しなければならない。

b 一般送配電事業とは、自らの送配電設備により、その供給区域において、 (エ) 供給及び電力量調整供給を行う事業をいい、その供給区域における最終保障供給及び離島の需要家への離島供給を含む。一般送配電事業を営もうとする者は、経済産業大臣の (オ) を受けなければならない。

上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ),(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

選択肢 (ア) (イ) (ウ) (エ) (オ)
(1) 一般 登録 供給 託送 許可
(2) 特定 許可 発電 特定卸 認可
(3) 一般 登録 供給 特定卸 許可
(4) 一般 許可 送電 特定卸 認可
(5) 特定 登録 供給 託送 認可

解説

解答:(1)

本問は、電気事業法第$2$条(定義)、第$2$条の$2$(小売電気事業の登録)、第$2$条の$12$(供給能力の確保義務)、および第$3$条(一般送配電事業の許可)からの出題です。
電気事業法における各事業の定義と規制基準は次のように規定されています。

小売電気事業の規定:
第$2$条第$1$項第一号において、小売供給とは「一般」の需要に応じ電気を供給することと定義されています。
第$2$条の$2$に基づき、小売電気事業を営もうとする者は経済産業大臣の「登録」を受けなければなりません。
第$2$条の$12$に基づき、小売電気事業者は相手方の需要に応ずるために必要な「供給」能力を確保する義務を負います。

一般送配電事業の規定:
第$2$条第$1$項第八号において、一般送配電事業とは自らの送配電設備により「託送」供給及び電力量調整供給を行う事業と規定されています。
第$3$条に基づき、一般送配電事業を営もうとする者は経済産業大臣の「許可」を受けなければなりません。

各空欄に当てはまる語句を照合します。
(ア)には「一般」が入ります。特定規模需要に限定されないすべての需要家が対象です。
(イ)には「登録」が入ります。小売参入は許可制ではなく登録制が採用されています。
(ウ)には「供給」が入ります。自社発電設備に限らず他社調達を含めた供給能力の確保が義務付けられます。
(エ)には「託送」が入ります。送配電ネットワークを開放して電力を伝送する供給形態です。
(オ)には「許可」が入ります。送配電網の地域独占と信頼性確保のため、最も厳格な許可制が維持されています。
したがって、正しい組合せは(1)です。

(1) すべての語句が電気事業法の規定と厳密に合致しており、正解です。

(2) (ア)が「特定」、(イ)が「許可」、(ウ)が「発電」、(エ)が「特定卸」、(オ)が「認可」となっており誤りです。

(3) (エ)が「特定卸」となっており、一般送配電事業の基本的業務規定と異なるため誤りです。

(4) (イ)が「許可」、(ウ)が「送電」、(エ)が「特定卸」、(オ)が「認可」となっており誤りです。

(5) (ア)が「特定」、(オ)が「認可」となっており規定用語と矛盾するため誤りです。

平成26年 問5

問題文

次の文章は、「電気事業法」及び「電気事業法施行規則」に基づく、電圧の維持に関する記述である。

電気事業者(卸電気事業者及び特定規模電気事業者を除く。)は、その供給する電気の電圧の値をその電気を供給する場所において、表の左欄の標準電圧に応じて右欄の値に維持するように努めなければならない。

標準電圧 維持すべき値
$100 \text{ V}$ $101 \text{ V}$の上下 (ア) $ \text{V}$を超えない値
$200 \text{ V}$ $202 \text{ V}$の上下 (イ) $ \text{V}$を超えない値

また、次の文章は、「電気設備技術基準」に基づく、電圧の種別等に関する記述である。

電圧は、次の区分により低圧,高圧及び特別高圧の三種とする。

a. 低圧:直流にあっては (ウ) $ \text{V}$以下、交流にあっては (エ) $ \text{V}$以下のもの

b. 高圧:直流にあっては (ウ) $ \text{V}$を、交流にあっては (エ) $ \text{V}$を超え、 (オ) $ \text{V}$以下のもの

c. 特別高圧: (オ) $ \text{V}$を超えるもの

上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ),(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

選択肢 (ア) (イ) (ウ) (エ) (オ)
(1) 6 20 600 450 6600
(2) 5 20 750 600 7000
(3) 5 12 600 400 6600
(4) 6 20 750 600 7000
(5) 6 12 750 450 7000

解説

解答:(4)

本問は、「電気事業法施行規則」第$38$条(電圧及び周波数の値)、および「電気設備に関する技術基準を定める省令」第$2$条(電圧の種別等)からの出題です。
法令の各基準は次のように定められています。

電圧の維持基準(施行規則第$38$条第$1$項):
標準電圧$100\text{ V}$の電路では、$101\text{ V}$の上下$6\text{ V}$を超えない値($95\text{ V} \sim 107\text{ V}$)に維持するよう努める必要があります。
標準電圧$200\text{ V}$の電路では、$202\text{ V}$の上下$20\text{ V}$を超えない値($182\text{ V} \sim 222\text{ V}$)に維持するよう努める必要があります。

電圧の種別区分(省令第$2$条第$1$項):
低圧は、直流にあっては$750\text{ V}$以下、交流にあっては$600\text{ V}$以下と規定されます。
高圧は、直流にあっては$750\text{ V}$を、交流にあっては$600\text{ V}$を超え、$7\text{ }000\text{ V}$以下の区分です。
特別高圧は、$7\text{ }000\text{ V}$を超える電圧と規定されます。

各空欄の数値を照合します。
(ア)には「6」が入ります。許容変動範囲は$\pm 6\text{ V}$です。
(イ)には「20」が入ります。許容変動範囲は$\pm 20\text{ V}$です。
(ウ)には「750」が入ります。直流低圧の上限値です。
(エ)には「600」が入ります。交流低圧の上限値です。
(オ)には「7000」が入ります。高圧と特別高圧を画する境界値です。
したがって、正しい組合せは(4)です。

(1) (ウ)が「600」、(エ)が「450」、(オ)が「6600」となっており不適正です。

(2) (ア)が「5」となっており、法令で定められた維持許容幅と異なるため誤りです。

(3) (ア)が「5」、(イ)が「12」、(ウ)が「600」、(エ)が「400」、(オ)が「6600」となっており誤りです。

(4) 維持電圧の許容値および電圧種別の区分数値がすべて法令と厳密に一致しており、正解です。

(5) (イ)が「12」、(エ)が「450」となっており規定値と異なるため誤りです。

平成21年 問1

問題文

次の文章は、「電気事業法」の目的についての記述である。

この法律は、電気事業の運営を適正かつ合理的ならしめることによって、電気の使用者の利益を保護し、及び電気事業の健全な発達を図るとともに、電気工作物の工事、維持及び運用を (ア) することによって、 (イ) の安全を確保し、及び (ウ) の保全を図ることを目的とする。

上記の記述中の空白箇所(ア),(イ)及び(ウ)に当てはまる語句として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。

選択肢 (ア) (イ) (ウ)
(1) 規定 公共 電気工作物
(2) 規制 電気 電気工作物
(3) 規制 公共 環境
(4) 規定 電気 電気工作物
(5) 規定 電気 環境

解説

解答:(3)

本問は、「電気事業法」第$1$条(目的)からの出題です。
法令では、電気事業法の目的を次のように定めています。
電気事業の運営を適正かつ合理的ならしめ、使用者の利益を保護します。
あわせて、電気事業の健全な発達を図ることが目的です。
さらに、電気工作物の工事、維持及び運用を規制します。
これにより、公共の安全を確保し、環境の保全を図ることを目指します。

条文の規定に基づき、各空白箇所の文言を判定します。
(ア)には「規制」が入ります。保安確保のために事業者の義務や技術基準適合を法律上強制する性格を表します。
(イ)には「公共」が入ります。一般公衆への危害防止や社会的インフラとしての安全確保を包括する語句です。
(ウ)には「環境」が入ります。地球温暖化防止や大気汚染防止など、環境調和型の事業運営を推進する趣旨です。
「電気工作物」は保安の客体に過ぎず、目的規定の法益としては「公共の安全」および「環境の保全」が位置付けられています。
したがって、正しい組合せは(3)です。

(1) (ア)が「規定」、(ウ)が「電気工作物」となっており誤りです。

(2) (イ)が「電気」、(ウ)が「電気工作物」となっており保護法益の用語と異なるため誤りです。

(3) 電気事業法第$1$条の文言と完全に合致しており、正解です。

(4) (ア)が「規定」、(イ)が「電気」、(ウ)が「電気工作物」となっており誤りです。

(5) (ア)が「規定」、(イ)が「電気」となっており法令用語と合致しないため誤りです。

平成21年 問10

問題文

次の文章は、「電気事業法」及び「電気事業法施行規則」の電圧及び周波数の値についての説明である。

① 電気事業者(卸電気事業者及び特定規模電気事業者を除く。以下同じ。)は、その供給する電気の電圧の値を標準電圧が$100 ext{ [V]}$では、 (ア) を超えない値に維持するように努めなければならない。

② 電気事業者は、その供給する電気の電圧の値を標準電圧が$200 ext{ [V]}$では、 (イ) を超えない値に維持するように努めなければならない。

③ 電気事業者は、その者が供給する電気の標準周波数 (ウ) 値に維持するよう努めなければならない。

上記の記述中の空白箇所(ア),(イ)及び(ウ)に当てはまる語句として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。

選択肢 (ア) (イ) (ウ)
(1) $100 \text{ [V]}$の上下$4 \text{ [V]}$ $200 \text{ [V]}$の上下$8 \text{ [V]}$ に等しい
(2) $100 \text{ [V]}$の上下$4 \text{ [V]}$ $200 \text{ [V]}$の上下$12 \text{ [V]}$ の上下$0.2 \text{ [Hz]}$を超えない
(3) $100 \text{ [V]}$の上下$6 \text{ [V]}$ $200 \text{ [V]}$の上下$12 \text{ [V]}$ に等しい
(4) $101 \text{ [V]}$の上下$6 \text{ [V]}$ $202 \text{ [V]}$の上下$12 \text{ [V]}$ の上下$0.2 \text{ [Hz]}$を超えない
(5) $101 \text{ [V]}$の上下$6 \text{ [V]}$ $202 \text{ [V]}$の上下$20 \text{ [V]}$ に等しい

解説

解答:(5)

本問は、「電気事業法」第$26$条(電圧及び周波数)、および「電気事業法施行規則」第$38$条(電圧及び周波数の値)からの出題です。
法令条文では、電気事業者が維持すべき電気の品質について次のように規定しています。

法第$26$条第$1$項の規定:
電気事業者は、その供給する電気の電圧及び周波数の値を経済産業省令で定める値に維持するように努めなければなりません。

施行規則第$38$条の規定:
一 供給地点における電圧の値:
標準電圧$100 \text{ V}$にあっては、$101 \text{ V}$の上下$6 \text{ V}$を超えない値とします。
標準電圧$200 \text{ V}$にあっては、$202 \text{ V}$の上下$20 \text{ V}$を超えない値とします。
二 供給する電気の周波数の値:
その者が供給する電気の標準周波数に等しい値と規定されています。

空欄箇所を照合します。
(ア)には「$101 \text{ [V]}$の上下$6 \text{ [V]}$」が入ります。基準値が$101 \text{ V}$である点に留意が必要です。
(イ)には「$202 \text{ [V]}$の上下$20 \text{ [V]}$」が入ります。基準値が$202 \text{ V}$、許容幅が$\pm 20\text{ V}$です。
(ウ)には「に等しい」が入ります。数値的な許容幅は法令に規定されず、「標準周波数に等しい値」と明記されています。
したがって、正しい組合せは(5)です。

(1) (ア)が「$100 \text{ [V]}$の上下$4 \text{ [V]}$」、(イ)が「$200 \text{ [V]}$の上下$8 \text{ [V]}$」となっており誤りです。

(2) (ア)が「$100 \text{ [V]}$の上下$4 \text{ [V]}$」、(ウ)に数値許容幅が記載されており法令規定と異なるため誤りです。

(3) (ア)および(イ)の基準電圧が「$100 \text{ [V]}$」「$200 \text{ [V]}$」となっており不適正です。

(4) (イ)の許容値が「$12 \text{ [V]}$」、(ウ)が数値許容幅となっており誤りです。

(5) 電圧の基準値、許容範囲、および周波数の条文表現がすべて施行規則第$38$条と合致しており、正解です。

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