電験$3$種法規科目における「過電流遮断器・配線用遮断器の施設」に関する過去問解説です。
過電流遮断器・配線用遮断器の施設
電路に過負荷や短絡が生じると、大電流による過熱焼損や火災、電磁力による機器損壊を招きます。
これを防止するため、法令では電路の必要な箇所への過電流遮断器の施設が義務付けられています。
根拠法令は、「電気設備に関する技術基準を定める省令」第$14$条(過電流からの電線及び電気機械器具の保護対策)です。
あわせて「電気設備技術基準の解釈」第$33$条(過電流遮断器の施設)および第$34$条(過電流遮断器の施設箇所等)に基づきます。
過電流遮断器の性能規格および施設制限
低圧電路の配線用遮断器、高圧電路の包装・非包装ヒューズの性能基準、および施設制限を整理した一覧です。
| 機器・対象区分 | 不動作電流(耐え電流) | 動作時間基準(溶断時間) | 施設制限・省略要件および頻出引っかけ |
|---|---|---|---|
| 省令第$14$条の基本要件 | 電路の必要な箇所に施設 | 過熱焼損から保護し、火災を防止 | 目的を「感電事故防止」やすり替える誤り、「電路」を「配線」とする誤り |
| 低圧配線用遮断器($30\text{ A}$以下) | 定格電流の$1$倍で動作しない | $1.25$倍で$60$分以内、$2$倍で$2$分以内 | 不動作電流を「$1.1$倍」、$2$倍動作を「$4$分」やすり替える誤り |
| 高圧包装ヒューズ | 定格電流の$1.3$倍に耐える | $2$倍の電流で$120$分以内に溶断 | 耐え電流を「$1.25$倍」や「$1.5$倍」、溶断時間を「$90$分」とする誤り |
| 高圧非包装ヒューズ | 定格電流の$1.25$倍に耐える | $2$倍の電流で$2$分以内に溶断 | 耐え電流を「$1.3$倍」、溶断時間を「$120$分」やすり替える誤り |
| 過電流遮断器の施設制限 | 施設禁止箇所の規定 | 接地工事の接地線、多線式電路の中性線、接地側電線には施設不可 | 「中性線に単極遮断器を施設した」「接地線に遮断器を施設した」とする誤り |
令和5年上期 問3
問題文
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「電気設備技術基準」では,過電流からの電線及び電気機械器具の保護対策について,次のように規定している。
(ア) の必要な箇所には,過電流による (イ) から電線及び電気機械器具を保護し,かつ, (ウ) の発生を防止できるよう,過電流遮断器を施設しなければならない。 上記の記述中の空白箇所(ア)~(ウ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。 |
選択肢 | (ア) | (イ) | (ウ) |
|---|---|---|---|---|
| (1) | 幹線 | 過熱焼損 | 感電事故 | |
| (2) | 配線 | 温度上昇 | 感電事故 | |
| (3) | 電路 | 電磁力 | 変形 | |
| (4) | 配線 | 温度上昇 | 火災 | |
| (5) | 電路 | 過熱焼損 | 火災 |
解説
解答:(5)
本問は、「電気設備に関する技術基準を定める省令」第$14$条(過電流からの電線及び電気機械器具の保護対策)第$1$項からの出題です。
法令の条文は次のとおり規定されています。
「電路の必要な箇所には、過電流による過熱焼損から電線及び電気機械器具を保護し、かつ、火災の発生を防止できるよう、過電流遮断器を施設しなければならない。」
条文の規定に基づき、各空白箇所の文言を判定します。
(ア)には「電路」が入ります。「配線」や「幹線」に限定されず、電気を通じる回路全体を包括する文言です。
(イ)には「過熱焼損」が入ります。過電流による過度のジュール熱に起因する機器や電線の損傷を指します。
(ウ)には「火災」が入ります。過熱やアークに伴う周辺可燃物への延焼を防止する趣旨です。
感電事故の防止は接地工事や地絡遮断器等の役割であり、過電流遮断器の主目的ではありません。
したがって、正しい組合せは(5)です。
(1) (ア)が「幹線」と限定的であり、(ウ)が感電事故防止となっているため誤りです。
(2) (ア)が「配線」、(イ)が「温度上昇」、(ウ)が「感電事故」であり条文と異なるため誤りです。
(3) (イ)が「電磁力」、(ウ)が「変形」となっており、熱的障害に関する規定と合致しないため誤りです。
(4) (ア)が「配線」、(イ)が「温度上昇」となっており、規定用語と異なるため誤りです。
(5) 省令第$14$条第$1$項の文言と完全に一致しており、正解です。
平成30年 問4
問題文
次の文章は、電気使用場所における異常時の保護対策の工事例である。その内容として、「電気設備技術基準」に基づき、不適切なものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 低圧の幹線から分岐して電気機械器具に至る低圧の電路において、適切な箇所に開閉器を施設したが、当該電路における短絡事故により過電流が生じるおそれがないので,過電流遮断器を施設しなかった。
(2) 出退表示灯の損傷が公共の安全の確保に支障を及ぼすおそれがある場合、その出退表示灯に電気を供給する電路に、過電流遮断器を施設しなかった。
(3) 屋内に施設する出力$100\text{ W}$の電動機に、過電流遮断器を施設しなかった。
(4) プール用水中照明灯に電気を供給する電路に、地絡が生じた場合に、感電又は火災のおそれがないよう、地絡遮断器を施設した。
(5) 高圧の移動電線に電気を供給する電路に、地絡が生じた場合に、感電又は火災のおそれがないよう、地絡遮断器を施設した。
解説
解答:(2)
電気使用場所における過電流遮断器および地絡遮断器の施設基準に関する正誤判定です。
省令第$14$条第$2$項では、電路の供給中断が公共の安全確保に重大な支障を及ぼすおそれがある回路に限り、例外として過電流遮断器の施設を禁止しています。
出退表示灯は役員の在室等を表示する機器に過ぎず、公共の安全に重大な支障を及ぼす設備に該当しません。
また、機器自体の損傷を理由として過電流遮断器を省略することは法令上認められません。
したがって、記述(2)が不適切であり正解です。
(1) 「電気設備の技術基準の解釈」第$34$条第$1$項ただし書において、過電流が生じるおそれがない電路では過電流遮断器の施設を省略できるため適正です。
(2) 出退表示灯は公共の安全の確保に重大な支障を及ぼす電路に該当せず、遮断器を施設しない根拠がないため誤り(正解)です。
(3) 解釈第$153$条第$1$項第一号において、定格出力$0.2\text{ kW}$($200\text{ W}$)以下の電動機は過負荷保護装置を省略できるため適正です。
(4) 解釈第$196$条第$1$項第二号において、プール用水中照明灯へ電気を供給する電路には感度電流$30\text{ mA}$以下の地絡遮断装置の施設が必要であるため適正です。
(5) 省令第$15$条および解釈第$36$条第$1$項において、高圧の移動電線に電気を供給する電路には地絡遮断装置を施設しなければならないため適正です。
平成25年 問6
問題文
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次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく、高圧又は特別高圧の電路に施設する過電流遮断器に関する記述の一部である。
a. 電路に (ア) を生じたときに作動するものにあっては、これを施設する箇所を通過する (ア) 電流を遮断する能力を有すること。 b. その作動に伴いその (イ) 状態を表示する装置を有すること。ただし、その (イ) 状態を容易に確認できるものは、この限りでない。 c. 過電流遮断器として高圧電路に施設する包装ヒューズ(ヒューズ以外の過電流遮断器と組み合わせて$1$の過電流遮断器として使用するものを除く。)は、定格電流の (ウ) 倍の電流に耐え、かつ、$2$倍の電流で (エ) 分以内に溶断するものであること。 d. 過電流遮断器として高圧電路に施設する非包装ヒューズは、定格電流の (オ) 倍の電流に耐え、かつ、$2$倍の電流で$2$分以内に溶断するものであること。 上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ),(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。 |
選択肢 | (ア) | (イ) | (ウ) | (エ) | (オ) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| (1) | 短絡 | 異常 | 1.5 | 90 | 1.5 | |
| (2) | 過負荷 | 開閉 | 1.3 | 150 | 1.5 | |
| (3) | 短絡 | 開閉 | 1.3 | 120 | 1.25 | |
| (4) | 過負荷 | 異常 | 1.5 | 150 | 1.25 | |
| (5) | 過負荷 | 開閉 | 1.3 | 120 | 1.5 |
解説
解答:(3)
本問は、「電気設備の技術基準の解釈」第$33$条(高圧又は特別高圧の電路に施設する過電流遮断器の性能等)第$1$項からの出題です。
条文の各号では次のように規定されています。
一 電路に短絡を生じたときに作動するものにあっては、これを施設する箇所を通過する短絡電流を遮断する能力を有すること。
二 その作動に伴いその開閉状態を表示する装置を有すること。ただし、その開閉状態を容易に確認できるものは、この限りでない。
三 過電流遮断器として高圧電路に施設する包装ヒューズ(ヒューズ以外の過電流遮断器と組み合わせて$1$の過電流遮断器として使用するものを除く。)は、定格電流の$1.3$倍の電流に耐え、かつ、$2$倍の電流で$120$分以内に溶断するものであること。
四 過電流遮断器として高圧電路に施設する非包装ヒューズは、定格電流の$1.25$倍の電流に耐え、かつ、$2$倍の電流で$2$分以内に溶断するものであること。
条文に基づき、各空欄の語句および数値を整理します。
(ア)には「短絡」が入ります。通過する最大の短絡電流を確実に遮断できる遮断容量が要求されます。
(イ)には「開閉」が入ります。作動時に回路が遮断状態にあることを外部から視認できる表示が必要です。
(ウ)には「1.3」が入ります。包装ヒューズは消弧剤で密閉されており放熱性が高いため、$1.3$倍の電流に耐えます。
(エ)には「120」が入ります。定格電流の$2$倍を通じた場合の溶断時間は$120$分以内です。
(オ)には「1.25」が入ります。非包装ヒューズは空気中に露出しているため、耐え電流は$1.25$倍となります。溶断時間は$2$倍電流で$2$分以内です。
したがって、正しい組合せは(3)です。
(1) (イ)が「異常」、(ウ)が「1.5」、(エ)が「90」となっており規定値と異なるため誤りです。
(2) (ア)が「過負荷」、(エ)が「150」、(オ)が「1.5」となっており不適正です。
(3) すべての語句および数値が解釈第$33$条第$1$項の規定と合致しており、正解です。
(4) (ア)が「過負荷」、(イ)が「異常」、(ウ)が「1.5」となっており規定と矛盾するため誤りです。
(5) (ア)が「過負荷」、(オ)が「1.5」となっており非包装ヒューズの基準を満たさないため誤りです。
平成21年 問5
問題文
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次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく、低圧電路に使用する配線用遮断器の規格に関する記述の一部である。
過電流遮断器として低圧電路に使用する定格電流$30\text{ [A]}$以下の配線用遮断器(電気用品安全法の適用を受けるもの及び電動機の過負荷保護装置と短絡保護専用遮断器又は短絡保護専用ヒューズを組み合わせた装置を除く。)は、次の各号に適合するものであること。 一 定格電流の (ア) 倍の電流で自動的に動作しないこと。 二 定格電流の (イ) 倍の電流を通じた場合において$60$分以内に、また、$2$倍の電流を通じた場合に (ウ) 分以内に自動的に動作すること。 上記の記述中の空白箇所(ア),(イ)及び(ウ)に当てはまる数値として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。 |
選択肢 | (ア) | (イ) | (ウ) |
|---|---|---|---|---|
| (1) | 1 | 1.6 | 2 | |
| (2) | 1.1 | 1.6 | 4 | |
| (3) | 1 | 1.25 | 2 | |
| (4) | 1.1 | 1.25 | 3 | |
| (5) | 1 | 2 | 2 |
解説
解答:(3)
本問は、「電気設備技術基準の解釈」第$33$条(過電流遮断器の施設)第$3$項(低圧電路に使用する配線用遮断器の規格)からの出題です。
低圧配線用遮断器の動作特性は、定格電流区分に応じて次のように規定されています。
定格電流$30\text{ A}$以下の配線用遮断器:
一 定格電流の$1$倍の電流で自動的に動作しないこと。
二 定格電流の$1.25$倍の電流を通じた場合において$60$分以内に、また、$2$倍の電流を通じた場合において$2$分以内に自動的に動作すること。
定格電流が$30\text{ A}$を超え$50\text{ A}$以下の配線用遮断器:
一 定格電流の$1$倍の電流で自動的に動作しないこと。
二 定格電流の$1.25$倍の電流を通じた場合において$60$分以内に、また、$2$倍の電流を通じた場合において$4$分以内に自動的に動作すること。
本問は「定格電流$30\text{ A}$以下」の配線用遮断器を対象としています。
(ア)には「1」が入ります。定格電流以下での不要動作を防止するため、$1$倍の電流では動作しません。
(イ)には「1.25」が入ります。定格の$1.25$倍の過負荷電流を通じた場合、$60$分以内に自動動作することが義務付けられます。
(ウ)には「2」が入ります。$2$倍の過負荷電流に対しては、$2$分以内の限時動作が求められます。
したがって、正しい組合せは(3)です。
(1) (イ)が「1.6」となっており、低圧ヒューズの規格等と混同しているため誤りです。
(2) (ア)が「1.1」、(イ)が「1.6」、(ウ)が「4」となっており規定数値と異なるため誤りです。
(3) 定格電流$30\text{ A}$以下の配線用遮断器規格の各数値と完全に合致しており、正解です。
(4) (ア)が「1.1」、(ウ)が「3」となっており配線用遮断器の判定基準と合致しないため誤りです。
(5) (イ)が「2」となっており、過負荷保護としての感度要件を満たさないため誤りです。
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