【電験3種】電技20〜27条「感電、火災等の防止」

電験3種における電技20〜27条「感電、火災等の防止」についてまとめました。

【省令20-27条】感電、火災等の防止

電技の20-27条では、「感電、火災等の防止」について以下のとおり規定されています。

(電線路等の感電又は火災の防止)
第20条 電線路又は電車線路は、施設場所の状況及び電圧に応じ、感電又は火災のおそれがないように施設しなければならない。

(架空電線及び地中電線の感電の防止)
第21条 低圧又は高圧の架空電線には、感電のおそれがないよう、使用電圧に応じた絶縁性能を有する絶縁電線又はケーブルを使用しなければならない。ただし、通常予見される使用形態を考慮し、感電のおそれがない場合は、この限りでない。
2 地中電線(地中電線路の電線をいう。以下同じ。)には、感電のおそれがないよう、使用電圧に応じた絶縁性能を有するケーブルを使用しなければならない。

(低圧電線路の絶縁性能)
第22条 低圧電線路中絶縁部分の電線と大地との間及び電線の線心相互間の絶縁抵抗は、使用電圧に対する漏えい電流最大供給電流の2000分の1を超えないようにしなければならない。

(発電所等への取扱者以外の者の立入の防止)
第23条 高圧又は特別高圧の電気機械器具、母線等を施設する発電所又は変電所、開閉所若しくはこれらに準ずる場所には、取扱者以外の者に電気機械器具、母線等が危険である旨を表示するとともに、当該者が容易に構内に立ち入るおそれがないように適切な措置を講じなければならない。
2 地中電線路に施設する地中箱は、取扱者以外の者が容易に立ち入るおそれがないように施設しなければならない。

(架空電線路の支持物の昇塔防止)
第24条 架空電線路の支持物には、感電のおそれがないよう、取扱者以外の者が容易に昇塔できないように適切な措置を講じなければならない。

(架空電線等の高さ)
第25条 架空電線、架空電力保安通信線及び架空電車線は、接触又は誘導作用による感電のおそれがなく、かつ、交通に支障を及ぼすおそれがない高さに施設しなければならない。
2 支線は、交通に支障を及ぼすおそれがない高さに施設しなければならない。

(架空電線による他人の電線等の作業者への感電の防止)
第26条 架空電線路の支持物は、他人の設置した架空電線路又は架空弱電流電線路若しくは架空光ファイバケーブル線路の電線又は弱電流電線若しくは光ファイバケーブルの間を貫通して施設してはならない。ただし、その他人の承諾を得た場合は、この限りでない。
2 架空電線は、他人の設置した架空電線路、電車線路又は架空弱電流電線路若しくは架空光ファイバケーブル線路の支持物を挟んで施設してはならない。ただし、同一支持物に施設する場合又はその他人の承諾を得た場合は、この限りでない。

(架空電線路からの静電誘導作用又は電磁誘導作用による感電の防止)
第27条 特別高圧の架空電線路は、通常の使用状態において、静電誘導作用により人による感知のおそれがないよう、地表上1mにおける電界強度が3kV/m以下になるように施設しなければならない。ただし、田畑、山林その他の人の往来が少ない場所において、人体に危害を及ぼすおそれがないように施設する場合は、この限りでない。
2 特別高圧の架空電線路は、電磁誘導作用により弱電流電線路(電力保安通信設備を除く。)を通じて人体に危害を及ぼすおそれがないように施設しなければならない。
3 電力保安通信設備は、架空電線路からの静電誘導作用又は電磁誘導作用により人体に危害を及ぼすおそれがないように施設しなければならない。

(電気機械器具等からの電磁誘導作用による人の健康影響の防止)【2021年度 問3】
第27条の2 変圧器、開閉器その他これらに類するもの又は電線路を発電所、変電所、開閉所及び需要場所以外の場所に施設するに当たっては、通常の使用状態において、当該電気機械器具等からの電磁誘導作用により人の健康に影響を及ぼすおそれがないよう、当該電気機械器具等のそれぞれの付近において、によって占められる空間に相当する空間の磁束密度の平均値が、商用周波数において200μT以下になるように施設しなければならない。ただし、田畑、山林その他の人の往来が少ない場所において、人体に危害を及ぼすおそれがないように施設する場合は、この限りでない。
2 変電所又は開閉所は、通常の使用状態において、当該施設からの電磁誘導作用により人の健康に影響を及ぼすおそれがないよう、当該施設の付近において、によって占められる空間に相当する空間の磁束密度の平均値が、商用周波数において200μT以下になるように施設しなければならない。ただし、田畑、山林その他の人の往来が少ない場所において、人体に危害を及ぼすおそれがないように施設する場合は、この限りでない。

静電誘導と電磁誘導の違いは次の通りです。

概要
静電誘導 帯電した物体を導体に接近させると、帯電した物体に近い側に帯電した物体とは逆の極性の電荷が引き寄せられる現象です。
電磁誘導 磁界が変化すると、変化を妨げる向きに導体に誘導起電力や誘導電流が発生する現象です。
静電誘導と電磁誘導の違い
静電誘導と電磁誘導の違いについてまとめました。

【解釈38条】発電所等への取扱者以外の者の立入の防止(省令第23条第1項)

(発電所等への取扱者以外の者の立入の防止)
第23条 高圧又は特別高圧の電気機械器具、母線等を施設する発電所又は変電所、開閉所若しくはこれらに準ずる場所には、取扱者以外の者に電気機械器具、母線等が危険である旨を表示するとともに、当該者が容易に構内に立ち入るおそれがないように適切な措置を講じなければならない。

上記の省令第23条第1項については解釈第38条で以下のように解釈されています・

【発電所等への取扱者以外の者の立入の防止】(省令第23条第1項)
第38条 高圧又は特別高圧の機械器具及び母線等(以下、この条において「機械器具等」という。)を屋外に施設する発電所、蓄電所又は変電所、開閉所若しくはこれらに準ずる場所(以下、この条において「発電所等」という。)は、次の各号により構内に取扱者以外の者が立ち入らないような措置を講じること。ただし、土地の状況により人が立ち入るおそれがない箇所については、この限りでない。
さく、へい等を設けること。
特別高圧の機械器具等を施設する場合は、前号のさく、へい等の高さと、さく、へい等から充電部分までの距離との和は、38-1表に規定する値以上とすること。
出入口に立入りを禁止する旨を表示すること。
出入口に施錠装置を施設して施錠する等、取扱者以外の者の出入りを制限する措置を講じること。

2 高圧又は特別高圧の機械器具等を屋内に施設する発電所等は、次の各号により構内に取扱者以外の者が立ち入らないような措置を講じること。ただし、前項の規定により施設したさく、へいの内部については、この限りでない
一 次のいずれかによること。
イ 堅ろうな壁を設けること。
ロ さく、へい等を設け、当該さく、へい等の高さと、さく、へい等から充電部分までの距離との和を、38-1表に規定する値以上とすること。
二 前項第三号及び第四号の規定に準じること。

3 高圧又は特別高圧の機械器具等を施設する発電所等を次の各号のいずれかにより施設する場合は、第1項及び第2項の規定によらないことができる
工場等の構内において、次により施設する場合
イ 構内境界全般にさく、へい等を施設し、一般公衆が立ち入らないように施設すること。
ロ 危険である旨の表示をすること。
ハ 高圧の機械器具等は、第21条第一号、第三号、第四号又は第五号(ロを除く。)の規定に準じて施設すること。
ニ 特別高圧の機械器具等は、第22条第1項第一号、第三号、第四号、第五号又は第六号の規定に準じて施設すること。

二 次により施設する場合
イ 高圧の機械器具等は、次のいずれかによること。
(イ) 第21条第四号の規定に準じるとともに、機械器具等を収めた箱を施錠すること。
(ロ) 第21条第五号(ロを除く。)の規定に準じて施設すること。
ロ 特別高圧の機械器具等は、次のいずれかによること。
(イ) 次によること。
(1) 機械器具を絶縁された箱又はA種接地工事を施した金属製の箱に収め、かつ、充電部分が露出しないように施設すること。
(2) 機械器具等を収めた箱を施錠すること。
(ロ) 第22条第1項第五号の規定に準じて施設すること。
危険である旨の表示をすること。
ニ 高圧又は特別高圧の機械器具相互を接続する電線(隣接して施設する機械器具相互を接続するものを除く。)であって、取扱者以外の者が立ち入る場所に施設するものは、第3章の規定に準じて施設すること。

38-1表

充電部分の使用電圧の区分 さく、へい等の高さと、さく、へい等から充電部分までの距離との和
35,000V以下 5m
35,000Vを超え160,000V以下 6m
160,000V超過 (6+c)m

(備考) cは、使用電圧と160,000Vの差を10,000Vで除した値(小数点以下を切り上げる。)に0.12を乗じたもの

解釈第38条第3項で引用されている第21条の内容は以下のとおりです。

【高圧の機械器具の施設】(省令第9条第1項)
第21条 高圧の機械器具(これに附属する高圧電線であってケーブル以外のものを含む。以下この条において同じ。)
は、次の各号のいずれかにより施設すること。ただし、発電所、蓄電所又は変電所、開閉所若しくはこれらに準
ずる場所に施設する場合はこの限りでない。

一 屋内であって、取扱者以外の者が出入りできないように措置した場所に施設すること。

二 次により施設すること。ただし、工場等の構内においては、ロ及びハの規定によらないことができる。
イ 人が触れるおそれがないように、機械器具の周囲に適当なさく、へい等を設けること。
ロ イの規定により施設するさく、へい等の高さと、当該さく、へい等から機械器具の充電部分までの距離との和を5m以上とすること。
ハ 危険である旨の表示をすること。

三 機械器具に附属する高圧電線にケーブル又は引下げ用高圧絶縁電線を使用し、機械器具を人が触れるおそれがないように地表上4.5m(市街地外においては4m)以上の高さに施設すること。

四 機械器具をコンクリート製の箱又はD種接地工事を施した金属製の箱に収め、かつ、充電部分が露出しないように施設すること。

五 充電部分が露出しない機械器具を、次のいずれかにより施設すること。
イ 簡易接触防護措置を施すこと。
ロ 温度上昇により、又は故障の際に、その近傍の大地との間に生じる電位差により、人若しくは家畜又は他の工作物に危険のおそれがないように施設すること。

【25条】低高圧架空電線の高さ(解釈68条)

(架空電線等の高さ)
第25条 架空電線、架空電力保安通信線及び架空電車線は、接触又は誘導作用による感電のおそれがなく、かつ、交通に支障を及ぼすおそれがない高さに施設しなければならない。
2 支線は、交通に支障を及ぼすおそれがない高さに施設しなければならない。

【解釈】

【低高圧架空電線の高さ】(省令第25条第1項)
第68条 低圧架空電線又は高圧架空電線の高さは、68-1表に規定する値以上であること。
2 低圧架空電線又は高圧架空電線を水面上に施設する場合は、電線の水面上の高さを船舶の航行等に危険を及ぼさないように保持すること。
3 高圧架空電線を氷雪の多い地方に施設する場合は、電線の積雪上の高さを人又は車両の通行等に危険を及ぼさないように保持すること。

68-1表

区分 高さ
道路(車両の往来がまれであるもの及び歩行の用にのみ供される部分を除く。)を横断する場合 路面上6m
鉄道又は軌道を横断する場合 レール面上5.5m
低圧架空電線を横断歩道橋の上に施設する場合 横断歩道橋の路面上3m
高圧架空電線を横断歩道橋の上に施設する場合 横断歩道橋の路面上3.5m
上記以外の屋外照明用であって、絶縁電線又はケーブルを使用した対地電圧150V以下のものを交通に支障のないように施設する場合 地表上4m
上記以外の低圧架空電線を道路以外の場所に施設する場合 地表上4m
上記以外のその他の場合 地表上5m

【例題】令和5年下期 問6 取扱者が支持物昇降に使用する足場金具等に関する論説問題

架空電線路の支持物に,取扱者が昇降に使用する足場金具等を地表上 1.8 m
未満に施設することができる場合として,「電気設備技術基準の解釈」に基づき,不適切なものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 監視装置を施設する場合
(2) 足場金具等が内部に格納できる構造である場合
(3) 支持物に昇塔防止のための装置を施設する場合
(4) 支持物の周囲に取扱者以外の者が立ち入らないように,さく,へい等を施設する場合
(5) 支持物を山地等であって人が容易に立ち入るおそれがない場所に施設する場合

【解答】
(1)が不適切。解釈第53条の例外事項に「監視装置を施設する場合」の記載はない。監視装置を施設されていても、取扱者以外の者が容易に昇塔できてしまうので危険。
(2)解釈第53条第1項1号のとおりで適切。
(3)解釈第53条第1項2号のとおりで適切。
(4)解釈第53条第1項3号のとおりで適切。
(5)解釈第53条第1項4号のとおりで適切。

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