【電験三種】電技20-27条「電線路等の感電又は火災の防止」の対策

電験三種(法規)における電技20条「電線路等の感電又は火災の防止」の攻略ポイントをまとめました。

【電技20-27条】感電、火災等の防止

電技の20-27条では、「感電、火災等の防止」について以下のとおり規定されています。

電技20・21条

(電線路等の感電又は火災の防止)
第二十条 電線路又は電車線路は、施設場所の状況及び電圧に応じ、感電又は火災のおそれがないように施設しなければならない。

(架空電線及び地中電線の感電の防止)
第二十一条 低圧又は高圧の架空電線には、感電のおそれがないよう、使用電圧に応じた絶縁性能を有する絶縁電線又はケーブルを使用しなければならない。ただし、通常予見される使用形態を考慮し、感電のおそれがない場合は、この限りでない。
2 地中電線(地中電線路の電線をいう。以下同じ。)には、感電のおそれがないよう、使用電圧に応じた絶縁性能を有するケーブルを使用しなければならない。

※地中は地絡事故が発生しやすいので、より絶縁性能の高いケーブルの使用が求められている

電技解釈65条では、架空電線路の電線における感電防止のために、使用すべき電線の種類と、裸電線を使用できる(絶縁電線やケーブルが不要となる)条件が記載されています。

【低高圧架空電線路に使用する電線】(省令第21条第1項)
第65条 低圧架空電線路又は高圧架空電線路に使用する電線は、次の各号によること。
一 電線の種類は、使用電圧に応じ65-1表に規定するものであること。ただし、次のいずれかに該当する場合は、裸電線を使用することができる。(関連省令第5条第1項)
低圧架空電線を、B種接地工事の施された中性線又は接地側電線として施設する場合
高圧架空電線を、海峡横断箇所、河川横断箇所、山岳地の傾斜が急な箇所又は谷越え箇所であって、人が容易に立ち入るおそれがない場所に施設する場合

【65-1表】

使用電圧の区分 電線の種類
低圧300V以下 絶縁電線、多心型電線又はケーブル
低圧300V超過 絶縁電線(引込用ビニル絶縁電線及び引込用ポリエチレン絶縁電線を除く。)又はケーブル
高圧 高圧絶縁電線、特別高圧絶縁電線又はケーブル

電技22・23条

(低圧電線路の絶縁性能)
第二十二条 低圧電線路中絶縁部分の電線と大地との間及び電線の線心相互間の絶縁抵抗は、使用電圧に対する漏えい電流最大供給電流の2000分の1を超えないようにしなければならない。

(発電所等への取扱者以外の者の立入の防止)
第二十三条 高圧又は特別高圧の電気機械器具、母線等を施設する発電所又は変電所、開閉所若しくはこれらに準ずる場所には、取扱者以外の者に電気機械器具、母線等が危険である旨を表示するとともに、当該者が容易に構内に立ち入るおそれがないように適切な措置を講じなければならない。
2 地中電線路に施設する地中箱は、取扱者以外の者が容易に立ち入るおそれがないように施設しなければならない。

22条の漏洩電流が最大供給電流の1/2000以下というのは、電線1本あたりとなります。そのため、例えば2本の電線にまとめて使用電圧を印加した場合、漏洩電流は最大供給電流の1/1000以下となります。

23条の地中箱とは、マンホール等のことです。また、電技解釈38条で、「発電所等への取扱者以外の者の立入の防止」について具体的に記載されています。

【発電所等への取扱者以外の者の立入の防止】(省令第23条第1項)
第38条 高圧又は特別高圧の機械器具及び母線等(以下、この条において「機械器具等」という。)を屋外に施設する発電所又は変電所、開閉所若しくはこれらに準ずる場所(以下、この条において「発電所等」という。)は、次の各号により構内に取扱者以外の者が立ち入らないような措置を講じること。ただし、土地の状況により人が立ち入るおそれがない箇所については、この限りでない。
一 さく、へい等を設けること。
特別高圧の機械器具等を施設する場合は、前号のさく、へい等の高さと、さく、へい等から充電部分までの距離との和は、38-1表に規定する値以上とすること。

【38-1表】

充電部分の使用電圧の区分 さく、へい等の高さと、さく、へい等から充電部分までの距離との和
35,000V以下 5m
35,000Vを超え160,000V以下 6m
160,000V超過 (6+c)m

(備考) cは、使用電圧と160,000Vの差を10,000Vで除した値(小数点以下を切り上げる。)に0.12を乗じたもの

出入口に立入りを禁止する旨を表示すること。
出入口に施錠装置を施設して施錠する等、取扱者以外の者の出入りを制限する措置を講じること。
2 高圧又は特別高圧の機械器具等を屋内に施設する発電所等は、次の各号により構内に取扱者以外の者が立ち入らないような措置を講じること。ただし、前項の規定により施設したさく、へいの内部については、この限りでない。
一 次のいずれかによること。
イ 堅ろうな壁を設けること。
ロ さく、へい等を設け、当該さく、へい等の高さと、さく、へい等から充電部分までの距離との和を、38-1表に規定する値以上とすること。
二 前項第三号及び第四号の規定に準じること。

(以下、省略)

電技24・25条

(架空電線路の支持物の昇塔防止)
第二十四条 架空電線路の支持物には、感電のおそれがないよう、取扱者以外の者が容易に昇塔できないように適切な措置を講じなければならない。

(架空電線等の高さ)
第二十五条 架空電線、架空電力保安通信線及び架空電車線は、接触又は誘導作用による感電のおそれがなく、かつ、交通に支障を及ぼすおそれがない高さに施設しなければならない。
2 支線は、交通に支障を及ぼすおそれがない高さに施設しなければならない。

電技24条の適切な措置については、電技解釈53条に具体的に記載されています。

【架空電線路の支持物の昇塔防止】(省令第24条)
第53条 架空電線路の支持物に取扱者が昇降に使用する足場金具等を施設する場合は、地表上1.8m以上に施設すること。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合はこの限りでない。
足場金具等が内部に格納できる構造である場合
支持物に昇塔防止のための装置を施設する場合
三 支持物の周囲に取扱者以外の者が立ち入らないように、さく、へい等を施設する場合
四 支持物を山地等であって人が容易に立ち入るおそれがない場所に施設する場合

【低高圧架空電線の高さ】(省令第25条第1項)
第68条 低圧架空電線又は高圧架空電線の高さは、68-1表に規定する値以上であること。
2 低圧架空電線又は高圧架空電線を水面上に施設する場合は、電線の水面上の高さを船舶の航行等に危険を及ぼさないように保持すること。
3 高圧架空電線を氷雪の多い地方に施設する場合は、電線の積雪上の高さを人又は車両の通行等に危険を及ぼさないように保持すること。

【68-1表】

区分 高さ
道路(車両の往来がまれであるもの及び歩行の用にのみ供される部分を除く。)を横断する場合 路面上6m
鉄道又は軌道を横断する場合 レール面上5.5m
低圧架空電線を横断歩道橋の上に施設する場合 横断歩道橋の路面上3m
高圧架空電線を横断歩道橋の上に施設する場合 横断歩道橋の路面上3.5m
(上記以外)屋外照明用であって、絶縁電線又はケーブルを使用した対地電圧150V以下のものを交通に支障のないように施設する場合 地表上4m
(上記以外)低圧架空電線を道路以外の場所に施設する場合 地表上4m
(上記以外)その他の場合 地表上5m

低圧架空引込線の高さについては、電技解釈116条に具体的に記載されています。

【低圧架空引込線等の施設】(省令第6条、第20条、第21条第1項、第25条第1項、第28条、第29条、第37条)
第116条 低圧架空引込線は、次の各号により施設すること。

(省略)

六 電線の高さは、116-1表に規定する値以上であること。

(省略)

【116-1表】

区分 高さ
道路(歩行の用にのみ供される部分を除く。)を横断する場合で、技術上やむを得ない場合において交通に支障のないとき 路面上3m
道路(歩行の用にのみ供される部分を除く。)を横断する場合で、その他の場合 路面上5m
鉄道又は軌道を横断する場合 レール面上5.5m
横断歩道橋の上に施設する場合 横断歩道橋の路面上3m
上記以外の場合で、技術上やむを得ない場合において交通に支障のないとき 地表上2.5m
上記以外の場合で、その他の場合 地表上4m

高圧架空引込線の高さについては、電技解釈117条に具体的に記載されています。

【高圧架空引込線等の施設】(省令第6条、第20条、第21条第1項、第25条第1項、第28条、第29条、第37条)
第117条 高圧架空引込線は、次の各号により施設すること。
一 電線は、次のいずれかのものであること。
イ 引張強さ8.01kN以上のもの又は直径5mm以上の硬銅線を使用する、高圧絶縁電線又は特別高圧絶縁電線
ロ 引下げ用高圧絶縁電線
ハ ケーブル
二 電線が絶縁電線である場合は、がいし引き工事により施設すること。
三 電線がケーブルである場合は、第67条の規定に準じて施設すること。
四 電線の高さは、第68条第1項の規定に準じること。ただし、次に適合する場合は、地表上3.5m以上とすることができる。
イ 次の場合以外であること。
(イ) 道路を横断する場合
(ロ) 鉄道又は軌道を横断する場合
(ハ) 横断歩道橋の上に施設する場合
ロ 電線がケーブル以外のものであるときは、その電線の下方に危険である旨の表示をすること。
五 電線が、工作物又は植物と接近又は交差する場合は、高圧架空電線に係る第71条から第79条までの規定に準じて施設すること。ただし、電線と高圧架空引込線を直接引き込んだ造営物との離隔距離は、危険のおそれがない場合に限り、第71条第1項第二号及び第78条第1項の規定によらないことができる。
2 高圧引込線の屋側部分又は屋上部分は、第111条第2項から第5項までの規定に準じて施設すること。

電技26・27条

(架空電線による他人の電線等の作業者への感電の防止)
第二十六条 架空電線路の支持物は、他人の設置した架空電線路又は架空弱電流電線路若しくは架空光ファイバケーブル線路の電線又は弱電流電線若しくは光ファイバケーブルの間を貫通して施設してはならない。ただし、その他人の承諾を得た場合は、この限りでない。
2 架空電線は、他人の設置した架空電線路、電車線路又は架空弱電流電線路若しくは架空光ファイバケーブル線路の支持物を挟んで施設してはならない。ただし、同一支持物に施設する場合又はその他人の承諾を得た場合は、この限りでない。

(架空電線路からの静電誘導作用又は電磁誘導作用による感電の防止)
第二十七条 特別高圧の架空電線路は、通常の使用状態において、静電誘導作用により人による感知のおそれがないよう、地表上1mにおける電界強度が3kV/m以下になるように施設しなければならない。ただし、田畑、山林その他の人の往来が少ない場所において、人体に危害を及ぼすおそれがないように施設する場合は、この限りでない。
2 特別高圧の架空電線路は、電磁誘導作用により弱電流電線路(電力保安通信設備を除く。)を通じて人体に危害を及ぼすおそれがないように施設しなければならない。
3 電力保安通信設備は、架空電線路からの静電誘導作用又は電磁誘導作用により人体に危害を及ぼすおそれがないように施設しなければならない。

(電気機械器具等からの電磁誘導作用による人の健康影響の防止)
第二十七条の二 変圧器、開閉器その他これらに類するもの又は電線路を発電所、変電所、開閉所及び需要場所以外の場所に施設するに当たっては、通常の使用状態において、当該電気機械器具等からの電磁誘導作用により人の健康に影響を及ぼすおそれがないよう、当該電気機械器具等のそれぞれの付近において、によって占められる空間に相当する空間の磁束密度の平均値が、商用周波数において200μT以下になるように施設しなければならない。ただし、田畑、山林その他の人の往来が少ない場所において、人体に危害を及ぼすおそれがないように施設する場合は、この限りでない。
2 変電所又は開閉所は、通常の使用状態において、当該施設からの電磁誘導作用により人の健康に影響を及ぼすおそれがないよう、当該施設の付近において、によって占められる空間に相当する空間の磁束密度の平均値が、商用周波数において200μT以下になるように施設しなければならない。ただし、田畑、山林その他の人の往来が少ない場所において、人体に危害を及ぼすおそれがないように施設する場合は、この限りでない。

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