三相誘導電動機の「滑り」と計算式

三相誘導電動機の滑りの原理と計算方法について紹介します。

三相誘導電動機の「滑り」とは

三相誘導電動機における滑り(すべり)とは、実際の回転速度$N$が同期速度$N_s$に比べてどれだけ遅れているかを表したものです。
実際の回転速度とは、三相誘導電動機の定格回転速度のことです。
(電動機が劣化して定格回転速度を出せない場合は劣化している状態での回転速度)

ちなみに、同期速度とは理想状態の回転速度です(詳細は以下ページを参照)。

三相誘導電動機とは?極数と同期速度の計算式
三相誘導電動機の極数と同期速度の計算式について解説します。

三相誘導電動機には滑りがあるため、実際は同期速度よりも若干遅れた回転速度で回転します。

滑りの計算式

三相誘導電動機の滑りsは次式で求めることができます。

$$ s=\frac{N_s-N}{N_s} $$

上式より、同期速度$N_s$と滑り$s$がわかれば、実際の回転速度$N$は次式で求まります。

$$ N=(1-s)N_s $$

例題① 三相誘導電動機の同期速度、実際の回転速度、滑り

ある三相誘導電動機の極数$P$が4、周波数$f$が50Hzの場合、以下の問いに答えよ。

  1. 同期速度を求めなさい。
  2. 実際の回転速度が1440rpmの場合、滑りを求めなさい。
  3. 滑りsが5%の場合、実際の回転速度を求めなさい。

解答1

同期速度$N_s$は以下のとおり$1500 \text{ rpm}$と求まります。

$$ N_s = \frac{120 \times f}{P}= \frac{120 \times 50}{4} = 1500 \text{ rpm} $$

解答2

滑り$s$は以下のとおり4%と求まります。

$$ s = \frac{N_s – N}{N_s} = \frac{1500 – 1440}{1500} = 0.04$$

解答3

実際の回転速度$N$は以下のとおり$1425 \text{ rpm}$と求まります。
$$ N = (1 – s) \times N_s= (1 – 0.05) \times 1500 = 1425 \text{ rpm} $$

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コメント

  1. 匿名 より:

    おそらく式(2)が間違っていると思います。