電験3種・法規における送電線の電圧降下の計算式についてまとめました。
【送電線】電圧降下の計算式
単相回路の電圧降下を求める。
$\dot{E}$と$\dot{V}$の位相差が十分に小さいと仮定すると、線路の電圧降下$\epsilon$は以下の計算式で求めることができます。
【単相回路の場合】
$$\epsilon = I(Rcos\theta + Xsin\theta)=I(Rcos\theta + X\sqrt{1-cos\theta ^2})$$
$$\epsilon = \sqrt{3}I(Rcos\theta + Xsin\theta) = \sqrt{3}I(Rcos\theta + X\sqrt{1-cos\theta ^2})$$
$R$
電源側S点から負荷点Aを経由して負荷点Bに至る線路長[km]の三相3線式配電線路がある。
A点とB点で図に示す負荷電流が流れているとする。
S点の線間電圧が6600V、配電線路の1線当たりの抵抗が0.32Ω/km、リアクタンスが0.2Ω/kmとする。
S点、A点、B点における電圧の位相差が十分小さいと仮定したとき以下の値を求めよ。
①A–B間の線間電圧降下をS点線間電圧の1%としたい。このときのA–B間の線路長 $L_{AB}$ の値[km]はいくらにするか。
②A–B間の線間電圧降下をS点線間電圧の1%、B点線間電圧をS点線間電圧の96%としたとき、線路長Lの値[km]はいくらにするか。
【①解答】
題意より点A・B間の電圧降下 $\epsilon_{AB}$ はS点線間電圧(6600V)の1%なので66Vとなる。
力率85%なので$cos\theta=0.85$なので$sin\theta=\sqrt{1-cos\theta ^2}=0.527$
よって、公式より$L_{AB}$を求める。
$$\epsilon_{AB} = \sqrt{3}I_{AB}(Rcos\theta + Xsin\theta)$$
$$66=\sqrt{3}\cdot 150(0.32\cdot L_{AB}\cdot 0.85+0.20\cdot L_{AB}\cdot 0.527)$$
$$L_{AB}=0.67[km]$$
【②解答】
題意より点S・A間の電圧降下 $\epsilon_{SA}$ はS点線間電圧(6600V)の3%なので198Vとなる。
(B点線間電圧がS点線間電圧の96%分、A-B間の電圧降下がS点線間電圧の1%分なのでS-A間の電圧降下は「100-1-96=」3%となる)となる。
よって、公式より点SA間の線路長$L_{SA}$を求める。
$$\epsilon_{SA} =\sqrt{3}I_{SA}(Rcos\theta + Xsin\theta)$$
$$198=\sqrt{3}(50+150)(0.32\cdot L_{SA}0.85+0.20\cdot L_{SA}\cdot 0.527)$$
$$L_{AB}=1.51[km]$$
よって、線路長Lは
$$L=L_{SA}+L_{AB}=2.19[km]$$
【令和6年度上期・問11】配電線路の電圧降下
変電所から三相3線式1回線の専用配電線で受電している需要家がある。この配電線路の電線1条当たりの抵抗及びリアクタンスの値は、それぞれ3Ω及び5Ωである。この需要家の使用電力が8000kW、負荷の力率が0.8(遅れ)であるとき、次の(a)及び(b)の問に答えよ。
(a) 需要家の受電電圧が20 kV のとき,変電所引出口の電圧[kV]の値として,最も近いのは次のうちどれか。
| – | (1) | (2) | (3) | (4) | (5) |
|---|---|---|---|---|---|
| 電圧[kV] | 21.6 | 22.2 | 22.7 | 22.9 | 23.1 |
(b) 需要家にコンデンサを設置して,負荷の力率を0.95(遅れ)に改善するとき,この配電線の電圧降下の値[V]の,コンデンサ設置前の電圧降下の値[V]に対する比率[%]の値として,最も近いのは次のうちどれか。ただし,この需要家の受電電圧[kV]は,コンデンサ設置前と同一の20 kV とする。
| – | (1) | (2) | (3) | (4) | (5) |
|---|---|---|---|---|---|
| 比率[%] | 66.6 | 68.8 | 75.5 | 81.7 | 97.0 |
解説
(a)の正解は(3)、(b)の正解は(2)です。
(a) 変電所引出口の電圧(送電端電圧)を求めるには、受電端電圧と配電線路での電圧降下を合計します。
三相3線式配電線路の線路電流 $I$ [A] は、受電端電力を $P$ [W]、受電端電圧を $V_r$ [V]、負荷の力率を $\cos \theta$ とすると、$I = \frac{P}{\sqrt{3} V_r \cos \theta}$ で求められます。
$I = \frac{8000 \times 10^3}{\sqrt{3} \times 20 \times 10^3 \times 0.8} \approx 288.68 \text{ [A]}$
次に、三相3線式電線路の電圧降下 $v$ [V] の近似式 $v = \sqrt{3} I (R \cos \theta + X \sin \theta)$ を用いて電圧降下を計算します。ここで、電線1条当たりの抵抗 $R = 3 \, \Omega$、リアクタンス $X = 5 \, \Omega$ です。力率 $\cos \theta = 0.8$ のとき、$\sin \theta = \sqrt{1 – 0.8^2} = 0.6$ となります。
$v = \sqrt{3} \times 288.68 \times (3 \times 0.8 + 5 \times 0.6) = 500 \times (2.4 + 3.0) = 2700 \text{ [V]} = 2.7 \text{ [kV]}$
したがって、変電所引出口の電圧 $V_s$ [kV] は、受電端電圧 $V_r = 20 \text{ kV}$ に電圧降下 $2.7 \text{ kV}$ を加えた値となります。
$V_s = V_r + v = 20 + 2.7 = 22.7 \text{ [kV]}$
(b) 力率改善後の負荷の力率を $\cos \theta’ = 0.95$、線路電流を $I’$、電圧降下を $v’$ とします。
力率改善後の線路電流 $I’$ は以下の通りです。
$I’ = \frac{8000 \times 10^3}{\sqrt{3} \times 20 \times 10^3 \times 0.95} \approx 243.09 \text{ [A]}$
力率改善後の電圧降下 $v’$ は、$\sin \theta’ = \sqrt{1 – 0.95^2} \approx 0.31225$ を用いて計算します。
$v’ = \sqrt{3} \times 243.09 \times (3 \times 0.95 + 5 \times 0.31225) \approx 421.04 \times (2.85 + 1.56125) \approx 1857.3 \text{ [V]}$
コンデンサ設置前の電圧降下 $v = 2700 \text{ V}$ に対する比率 [%] は以下の通り求まります。
比率 $= \frac{v’}{v} \times 100 = \frac{1857.3}{2700} \times 100 \approx 68.8 \text{ [%]}$
【令和4年度・問13】非接地方式三相3線式電路の絶縁劣化
図に示すような,相電圧 $\dot{E}_R$ [V], $\dot{E}_S$ [V], $\dot{E}_T$ [V],角周波数 $\omega$ [rad/s]の対称三相3線式高圧電路があり,変圧器の中性点は非接地方式とする。電路の一相当たりの対地静電容量を $C$ [F]とする。
この電路の $R$ 相のみが絶縁抵抗値 $R_G$ [Ω]に低下した。このとき,次の(a)及び(b)の問に答えよ。
ただし,上記以外のインピーダンスは無視するものとする。
(a) 次の文章は,絶縁抵抗 $R_G$ [Ω]を流れる電流 $\dot{I}G$ [A]を求める記述である。
$R_G$ を取り除いた場合
a-b 間の電圧 $\dot{V}{ab} =$ (ア)
a-b 間より見たインピーダンス $\dot{Z}{ab}$ は,変圧器の内部インピーダンスを無視すれば, $\dot{Z}{ab} =$ (イ) となる。
ゆえに, $R_G$ を接続したとき, $R_G$ に流れる電流 $\dot{I}_G$ は,次式となる。
$$\dot{I}G = \frac{\dot{V}{ab}}{\dot{Z}_{ab} + R_G} = (\text{ウ})$$
上記の記述中の空白箇所(ア)~(ウ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
| – | (ア) | (イ) | (ウ) |
|---|---|---|---|
| (1) | $\dot{E}_R$ | $\frac{1}{j3\omega C}$ | $\frac{j3\omega C\dot{E}_R}{1+j3\omega CR_G}$ |
| (2) | $\sqrt{3}\dot{E}_R$ | $j3\omega C$ | $\frac{j3\omega C\dot{E}_R}{1+j3\omega CR_G}$ |
| (3) | $\dot{E}_R$ | $\frac{3}{j\omega C}$ | $\frac{j\omega C\dot{E}_R}{3+j\omega CR_G}$ |
| (4) | $\sqrt{3}\dot{E}_R$ | $\frac{1}{j3\omega C}$ | $\frac{\dot{E}_R}{1+j3\omega CR_G}$ |
| (5) | $\dot{E}_R$ | $j3\omega C$ | $\frac{\dot{E}_R}{1+j3\omega CR_G}$ |
(b) 次の文章は,変圧器の中性点 $O$ 点に現れる電圧 $\dot{V}_0$ [V]を求める記述である。
$$\dot{V}_0 = (\text{エ}) + R_G \dot{I}_G$$
ゆえに $\dot{V}_0 =$ (オ)
上記の記述中の空白箇所(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
| – | (エ) | (オ) |
|---|---|---|
| (1) | $-\dot{E}_R$ | $\frac{-\dot{E}_R}{1+j3\omega CR_G}$ |
| (2) | $\dot{E}_R$ | $\frac{\dot{E}_R}{1+j3\omega CR_G}$ |
| (3) | $-\dot{E}_R$ | $\frac{-\dot{E}_R}{1-j3\omega CR_G}$ |
| (4) | $\dot{E}_R$ | $\frac{\dot{E}_R}{1+j3\omega CR_G}$ |
| (5) | $\dot{E}_R$ | $\frac{-\dot{E}_R}{1-j3\omega CR_G}$ |
解説
正解は(a)が(1),(b)が(1)です。
問題の図は,鳳・テブナンの定理を用いて等価回路を作成することで解くことができます。
(a)
絶縁抵抗 $R_G$ を取り除いたとき,電路は対地静電容量 $C$ によって平衡しているため,中性点 $O$ の対地電位は $0$ [V] です。したがって,点 b は大地(中性点)と等電位であり,a-b 間の電圧 $\dot{V}{ab}$ は $R$ 相の相電圧 $\dot{E}_R$ と等しくなります。
(ア) $\dot{V}{ab} = \dot{E}_R$
次に,a-b 間より見たインピーダンス $\dot{Z}{ab}$ を求めます。電圧源を短絡して a-b 間から回路を見ると,3つの対地静電容量 $C$ が並列に接続された形となるため,合成アドミタンスは $j3\omega C$ となり,インピーダンスはその逆数となります。
(イ) $\dot{Z}{ab} = \frac{1}{j\omega C + j\omega C + j\omega C} = \frac{1}{j3\omega C}$
これらを式に代入して $\dot{I}_G$ を求めます。
$$\dot{I}_G = \frac{\dot{E}_R}{\frac{1}{j3\omega C} + R_G} = \frac{j3\omega C\dot{E}_R}{1+j3\omega CR_G}$$
(b)
図の回路において,中性点 $O$ から $R$ 相,点 a,点 b(大地)を通って $O$ に戻る閉回路にキルヒホッフの電圧則を適用します。中性点 $O$ の対地電位を $\dot{V}_0$ とすると, $R$ 相の対地電圧は $\dot{V}_0 + \dot{E}_R$ となり,これが $R_G$ の電圧降下 $R_G \dot{I}_G$ と等しくなります。
$$\dot{V}_0 + \dot{E}_R = R_G \dot{I}_G \quad \dots \quad \dot{V}_0 = -\dot{E}_R + R_G \dot{I}_G$$
(エ) は $-\dot{E}_R$ となります。
ここに (a) で求めた $\dot{I}_G$ を代入して整理します。
$$\dot{V}_0 = -\dot{E}_R + R_G \frac{j3\omega C\dot{E}_R}{1+j3\omega CR_G}$$
$$\dot{V}_0 = \frac{-\dot{E}_R(1+j3\omega CR_G) + j3\omega CR_G\dot{E}_R}{1+j3\omega CR_G} = \frac{-\dot{E}_R – j3\omega CR_G\dot{E}_R + j3\omega CR_G\dot{E}_R}{1+j3\omega CR_G}$$
$$\dot{V}_0 = \frac{-\dot{E}_R}{1+j3\omega CR_G}$$
(オ) は $\frac{-\dot{E}_R}{1+j3\omega CR_G}$ となります。
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