【リチウムイオン電池】UN ECE R100-02. Part.Ⅱの試験項目

リチウムイオン電池におけるUN ECE R100-02. Part.Ⅱの試験項目などについてまとめました。

UN ECE R100-02. Part.Ⅱとは

「UN ECE R100-02. Part.Ⅱ」とは、電気自動車(EV)等に搭載されるリチウムイオン電池の国連協定規則です。
ここには、9項目の試験が記載されています。
日本を含む「UN ECE R100-02.」の採択国メーカーは、電気自動車(EV)等に搭載されるリチウムイオン電池の安全性試験を実施することになっています。

試験項目 試験概要 合格条件
輸送振動試験
(走行時の振動に対する安全性評価)
電池に対して、2~10[m/s2]の振動を1回15分、合計12回(3時間)与える。 電解液漏れ、破裂、火災、爆発の兆候がなければ合格。
②熱衝撃・サイクル試験
(急な温度変化に対する安全性評価)
電池を60±2℃で6時間、続いて-40±2℃で6時間の環境下に置く。(試験の両温度間は30分以内)これを5サイクル実施し、その後に20±10℃の周囲温度に24時間置く。 電解液漏れ、破裂、火災、爆発の兆候がなければ合格。
衝撃試験
(車両衝突時の安全性評価)
電池に対して、100~120[ms]のパルス衝撃を与える(加速度は縦方向:最大28G、横方向:最大15G)。試験環境の周囲温度条件において1時間観察して終了。 電解液漏れ、破裂、火災、爆発の兆候がなければ合格。
圧壊試験
(車両衝突時の安全性評価)
電池に対して、100~105[kN]の力を100[ms]~10[s]の間加え、押しつぶす。施ジェン環境の周囲温度条件において1時間観察して終了。 電解液漏れ、破裂、火災、爆発の兆候がなければ合格。
外部短絡試験
(外部短絡時の保護性能評価)
電池に対して、5mΩ未満の外部抵抗により外部短絡を発生させ、大きな短絡電流を発生させる。そして、短絡電流を抑える保護システムを作動させる。 電解液漏れ、破裂、火災、爆発の兆候がなければ合格。
⑥過充電試験
(過充電時の保護性能評価)
電池に対して、最低C/3の電流、かつメーカーが規定する通常作動範囲内の最大電流を超えない電流で充電する。(電池が自動的に充電中断・制限するまで継続、自動中断しない場合は定格充電容量の2倍まで充電) 電解液漏れ、破裂、火災、爆発の兆候がなければ合格。
⑦過充電試験
(過充電時の保護性能評価)
電池に対して、最低C/3の電流、かつメーカーが規定する通常作動範囲内の最大電流を超えない電流で充電する。(電池が自動的に充電中断・制限するまで継続、自動中断しない場合は公称電圧の25%まで充電) 電解液漏れ、破裂、火災、爆発の兆候がなければ合格。
⑧過昇温試験
(冷却システムが故障した場合の加熱に対する保護性能評価)
定常電流で充放電を行い、電池の温度を急速に上昇させ、保護装置の作動温度まで到達させる。保護機能が動作、もしくは電池の温度変化が一定(2時間で4℃未満の勾配)になる場合は試験終了。 電解液漏れ、破裂、火災、爆発の兆候がなければ合格。
⑨耐火性試験験
(車両の燃料漏れ等で火災が発生したときの耐久性評価:乗員が逃げるまで耐えられるか)
ガソリンを燃やして、電池を70秒間あぶる。そして、指定の穴の空いた耐火レンガを通した状態でさらに60秒間あぶる。 爆発の兆候がなければ合格。

【参考文献】国土交通省:UN-R100-02-S03 (2016.6.18) 協定規則第 100 号

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