【リチウムイオン電池】特徴・原理・仕組み

リチウムイオン電池の基本的な仕組みについてまとめました。

【リチウムイオン電池とは】特徴


リチウムイオン電池(Lthium-ion Battery)とは、正極と負極の間をリチウムイオンが移動することで「充電」「放電」を行う二次電池です。
リチウムイオン電池に使用される「正極」「負極」「電解質」の材料はメーカーや用途によって異なります。

特徴 概要
高電圧 ●電池1個の電圧が平均3.7Vある(公称電圧3.7V)。
※ニッカド電池やニッケル水素電池は1.2Vなので、約3倍の電圧が同じ本数から得られる。
※出力最大電圧は約4.2V(Co系とMn系でわずかに差はある。また、リン酸鉄系は約3.6V程度と低いが、他系と比べて3~4倍以上のサイクル寿命を持つ)
エネルギー密度が高い ●重量エネルギー密度は155Wh/kg、体積エネルギー密度は400Wh/lある。
●重量エネルギー密度はニッカド電池やニッケル水素電池の3倍、体積エネルギー密度は2倍あり、またリチウム(Li)は水素(H)、ヘリウム(He)に次いで非常に軽い元素なため、他の電池より軽量となる(単位質量あたりの容量[Wh/kg]が高い)。
●<特に正極に酸化リチウム、負極にカーボンを用いたリチウムイオン二次電池は非常に軽い。
メモリー効果がない ●浅い充放電を繰り返すと容量が減少してしまうメモリー効果が無いので、継ぎ足し充電が可能。(ニッカド電池やニッケル水素電池はメモリー効果がある)
正極材 ●酸化リチウム
※「コバルト酸リチウム(LiCoO2)」「マンガン酸リチウム(LiMn2O4)」「ニッケル酸リチウム(LiNiO2)」「リン酸鉄リチウム(LiFePO4)」等が用いられる。
負極 ●黒鉛(グラファイト)など
電解液 ●高いイオン伝導性をもち、かつ3-4Vの電圧帯でも分解しない電解液を作る必要があります。一般的に環状カーボネートと鎖状カーボネートの混合有機溶媒に、電解質としてLiPF6などのリチウム塩が溶解させた混合液を用います。
燃焼性 ●リチウムは非常に活性な金属なため、水と激しく反応して燃える
●電解液は有機溶媒なので、容易に燃焼
※他の2次電池よりも過充電や衝撃で発火、燃焼する可能性が高い
●リチウムを保管する際は油やナフサ、アルゴンなどの中で保管
有毒性 ●リチウムは強い腐食性・炎症性をもつ激毒物
熱暴走 ●過充電や内部短絡、外部加熱等によりリチウムイオン電池が異常発熱や発火を起こす現象。

【安全機能】セル単位、モジュール単位、システム単位

リチウムイオン電池は他の二次電池と比較しても危険性が高いため、様々な安全機構が備わっている。

種別 役割 特徴
PTC 過電流防止 ●(Positive Temperature Coefficientの略
●円筒型セルの頭部にある。
CID 破裂防止 ●Current Interrupt Device(ディスコネクト素子)の略
●セル内部の圧力が上昇した時に、機械的に電流経路を遮断
セパレータメルトダウン 熱暴走防止 ●セル温度が上昇した場合、セパレータが溶け、セパレータがイオンを通過させていた穴が閉じることで電流を遮断

【セル形状の種類】円筒形、角型、ラミネート型

リチウムイオン電池のセル形状は円筒形、角型、ラミネート型の3種類が基本です。

種別 価格 大きさ 強度 出力 採用例
円筒形 テスラ
角型 トヨタ、プリウスPHV
ラミネート型 日産リーフ
用語 概要
円筒形セル 円筒形セルの見た目は単3乾電池と似ています。大容量かつ安いメリットがあり、モバイルバッテリーやノートPCなど家電製品で幅広く使われています。ただし、円筒形セルを敷き詰めて車載バッテリーパックを作ると、セルとセルの間の無駄な空間ができてしまうため、省スペース性に乏しいため車載向けバッテリーとしてはマイナーな存在です。しかしながら、高エネルギー密度で安価という特徴を優先し、調達コストの低下重視で総合的な戦略的狙いで、EV用バッテリーに円筒形セルを採用するテスラのようなメーカーも存在します。円筒形セルの代表的な供給メーカーはパナソニック、LG化学、BYD等、中国ローカル企業です。テスラにはパナソニック製の円筒形セルが採用されています。巻回形(ジェリーロール)という、正極材・セパレータ・負極材のシートをくるくると巻く方法で製造されるのが一般的です。
角型セル セルが四角いのでそこそこコンパクトで出力もあるため、強度・エネルギー密度・サイズという車載用途としての重要性能のバランスが良いです。そのため、車載用バッテリー、ガラケーやデジカメの交換型バッテリーなどで採用されています。巻回形で製造されるのが一般的なようです。
ラミネート型(パウチ型) 角型の外装がアルミ缶なのに対し、薄いラミネートフィルムで包まれているため、強度が低い反面、薄型化に優れています。そのため、スマホやスマートウォッチなどモバイル機器でよく採用されています。また、日産リーフもラミネート型セルを採用しています。ラミネート型セルは、交互に折りたたんで正極材・セパレータ・負極材を積層する積層型で製造されることが一般的なようです。

【原理】

用語 概要
イオン 電子の過剰もしくは不足により電荷を帯びた原子。
リチウムイオン(Li+) リチウム原子(Li)が電子(e-)を放出(酸化)してプラスの電荷を帯びた陽イオン。また、リチウムはすべての元素の中で最もイオン化しやすい(イオン化傾向が強い)元素。
充放電 リチウムイオンが電解質を通して正極と負極を行き来するとき、正極と負極の間には電子の流れ(電流)が発生するため、電池の充電・放電が可能となる。
充電 リチウムイオン電池を充電すると、正極から負極に電子が移動し、リチウムイオンが正極から電解質をとおって負極に溜め込まれ、正極と負極の間に電位差が発生します。また、リチウムイオン電池は正極・負が層状となっており、その層内部にリチウムイオンをためることができます。

【部材】バインダー

用語 概要
バインダー 電極活物質を接着する。負極では活物質(炭素材料など)と集電体(銅箔)を結合させ、正極では活集電体|集電体の材料としては、アルミニウム箔が使われる。理由としては、正極集電体として使用される電位領域ではドープせず、導電性(大電流が供給可能)と耐食性が高いためである。集電体がドープすると、脆化しての機能しない。アルミニウムの表面は強固な自然酸化皮膜に覆われおり、リチウムイオン電池内で最初の充電時にアルミニウム箔表面にさらに耐食性が高いフッ化アルミニウムが形成される。第3はアルミニウム箔表面に導電性があることである。

【種類】

種別 概要
リン酸鉄リチウムイオン電池 結晶構造が強固で熱的な安全性が高い、材料は安い、製造コストがやや高い、電気伝導性が低い特徴をもつ。
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